第14話14
「おっ!アレ!」
廊下を歩く恒輝と明人を、同学年の別クラスの男子2人が遠目で発見した。
「アレが、オメガの転校生かよ!マジイケてんじゃん!」
男子2人は廊下で立ち止まり、楽しそうに話し始めた。
「でも、もう西島の番らしいぜ!見ろよ
!あの西島とのラブラブ感」
一人の男子が、ニヤニヤした。
確かに恒輝と明人は、かなり密接して並んで歩いていた。
そして、明人はニコニコとして頻繁に恒輝を見て、恒輝も、チラチラと明人を見る。
恒輝と明人2人のそこだけが、完全に他とオーラと空気が違う。
「しかし、よりによってあんな極上オメガがあの底辺アルファ西島の番とはなぁ
…世の中間違ってるよな…」
そう言い、もう一人の男子がフゥーと溜め息を付く。
そしてそれを、ちょうど近くの部屋から出ようと扉に手をかけかけた佐々木が聞いて、その場に立って扉越しに聞き耳を立てた。
その部屋は窓が少なく、あっても摺りガラスで、外から佐々木の存在が分からなかった。
僅か半日で、恒輝と明人は付き合ってる事にされ、ベータばかりの学校内で超有名カップルになってしまった。
佐々木は、それを聞きぐっと両手を握り締めた。
「やっぱ、西島がアルファって噂、本当だったんだな。ぜってー嘘だと思ってたわ。あいつ、まぁ…顔はいいし、ケンカつぇけどよ…後はクソっぽそうじゃん。俺らより勉強できねぇバカ、短気でおまけにチビだしよ!あんなのアルファじゃねぇじゃん!ただの猿だろ!」
「だよなー!どっちかと言えば、ほら、あの最近来たあいつ、佐々木、そうだよ
!佐々木みたいなアルファの方がぜってー似合ってるだろ。絶対番にすんなら、西島じゃなくて佐々木みたいな方だろ。俺がオメガなら、絶~対佐々木にするわ
!」
「だよなー!アハハ!」
そう笑いながら、男子達も、自分の教室に歩いて行った。
佐々木は、再び両拳を握ったが、その目は、爛々と輝いていた。
そして、この後すぐ、西島恒輝より自分の方が優れて格上なアルファだという事を、明人の見ている前で実証出来る機会がある事に笑みを浮かべた。
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