第2話2

「えっ?」


男の言っている意味が分からなくて、恒輝は不思議そうに聞き返した。


「やっと、会えたんだ…君は、俺の運命の番だ!」


「え?」


恒輝が困惑で顔を歪めた。


「匂い…俺の、俺のフェロモン…分からない?」


男も美貌を歪める。


「あっ、悪い…俺、そう言うの分かんねぇんだ」


「えっ、でも、君、アルファだよね?」


男がそう言い前へ一方出て間を詰めたので、恒輝の方が男を見たまま一歩後ろへ下がった。



「あんた、なんで俺がアルファだって分かんの?俺、フェロモン出て無いはずだけど…」


その返事に、男の頬が再び赤く染まる。


いかにも恋愛慣れして遊んでいそうなのに、まるで初々しい乙女の様な反応だ。


「匂いなんて無くても、ひと目見て目が合って分かったんだ!君がアルファで、俺の運命の番だって!」


「あっ、悪い。俺、本当にあんたのフェロモン分かんねぇし、アルファとかオメガとか興味ねえから…」


確かに、目の前の男が美形男子なのは認める。


だが、これは、偽らざる恒輝の本心だった。


そう言うと冷たく背を向け、恒輝は歩き出した。


「ま、待ってくれ!」


大の男が意外な縋り付く様な声を上げたが無視してそのまま去るつもりだったのに、恒輝の足は不思議と止まった。


「本当に、本当なんだ。君と俺は運命の

…」


恒輝の背に必死な言葉がぶつけられるが

、恒輝は最後まで言わさずかぶせる様に

振り返り真顔で言った。


「あんたの言う…本当に運命の番なら、又どっかで会えんじゃねぇの?今度又会えたら、友達からなら付きあってやるよ

。今日、俺、急ぎがあるから…」


遅くなると、花菜が又ブーブー五月蝿い


恒輝が又男に背を向けて歩き出すと、今度は何も向こうから反応が無かった。


男の呆然とした表情が一瞬可哀想にもなったが、所詮、運命の番なんてある訳が無いのだ。


恒輝の回りに運命の番の二人など居ないし、見た事も無い。


ただの都市伝説にしか思えない。


だから、生まれて初めての逆ナンだったけど上手く逃げられた…と、もう二度と会う事も無いと恒輝は少し機嫌が良くなり、さっきあまり食べなかった所為もあり急に腹が減り、早くハンバーグが食べたいと早足になった。













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