ネク・ビエンテ 黒霧の館8


これはまたとんでもないな。こんな禍々しい世界に神聖さすら感じれる場所があるなんて。あまりにも釣り合わない、そして、それがなんだか不気味にすら感じる。


「あれだ」


フォールスが指さす場所、神殿の中央に輪が3つ混ざり合うように今も回転するその真ん中に幾重にも重なる色あいの球体が置かれている。


「それとったらやばいんじゃないの?」


カポッ。


「え?」


「え?、じゃねぇだろう。バカなのか?オイオイおい、クール気取って馬鹿なの?死ぬの?なんでそんな迂闊なの」


球体を取った瞬間から神殿に冷気がみちる。神殿の端から霜ができ始める。


ギョッとしてネクは急ぎ足で出口に向かうが目の前に冷気の渦が立ち込める。思わず足を止めてしまい、冷気に取り込まれそうになる。


……ヤバイ、死ぬ。


「ッ!ぼーっとしてんな!」


後ろにグンっと引かれ、引かれるがままにしりもちを着く。


余裕なさげなノアが手を貸してくれる。その手をつかみ立ち上がり礼を言う。


「ありがとう、やばかった」


「でしょーね、なんなのあれ」


「……ノアにも分からないのか?」


「うん。さっぱりだね」


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