黒霧の少女13


「……逃げた、のか……?私から?」


「そうやとしたら相当厄介な相手やね、そりゃ一級程度じゃ敵わんわけや」




咲は正拳突きを確かに少女に向けた。拳が触れる瞬間、少女は薄ら笑いを浮かべ体を貫通させた。そう、触れたのである。


触れた拳は壊死したように紫とも黒とも言えない色に変色し、咲と言えど追撃は出来ず、後退。その隙を突いてそのまま消えた。


幸い、空が何かあった時に備えて巻き戻しの魔法を展開していた為、食らう前に巻き戻して、なんは逃れたが。


「さて、どうすっかねー私は今回限りだな、緑の魔法も使っちゃったし」


「……黒霧は龍になったのは今回が初めてだ。そこになにか引っかかりを覚えるな」


ネクは冷静に今までとの比較をして、今回で初めて起こったことについて指摘する。


あっという顔をして、フォールスが呟いた。


「………家?」


「家……か。探す価値はあるな。明日、いや、3日後に捜索開始でどうかな?各々準備が必要だろう?」


トーマスのその言葉に誰も異論はなかった。


「なら、おい!空!くうに杖を見繕ってくれ」


「杖ね、……ああ、分かった」


空が了承した事に周りは唖然とした。


「なんだよ……」


ムスッとした顔の空を見てくうがクスリと笑っていた。

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