第11話

小さい口をぽかんと開いたままこちらを見つめるさくらがオドオドと問いかけられる。


「あ、あの。で私はどうなるんでしょうか?」


さくらはこてんと首をかしげた。ぐっ、かわいい。だがにやにやしない様に腹に力を入れ至って冷静に話をつづけた。


「ひとまず、さくらにはこの王宮内でくらしてもらう。魔術に関しても野放しにできる状況ではなさそうだからな。……勿論奴隷としてではない。客人としてもてなそう。異論はみとめぬ」


さくらはすこしホッとしたような表情になった。



「わかりました。じゃあこの首輪外してもらえないでしょうか?ちからを悪いことになんか使うつもりないし」


ちらっと首につけた魔封じの首輪をみる。赤い首輪をしたさくらの裸体はとてつもない色香をはなっているようだった。



「良いだろう。あと服も用意させる」


自分の今の姿に気が付き全身朱にそめたさくらはシーツにくるまり背を向けた。横目でそんな様子を口の端を少し上げながめた。啖呵を切るくらいに強気なのに、裸をみられただけで狼狽えるさくら。ギャップに胸の鼓動が少し早くなっている気がした。



服を用意させるため執事をベルで呼ぶとすぐに部屋に入ってきた。


侍女たちにドレスを着せられているさくらをソファーに足をくみ肘掛けに持たれながら見つめていた。


――――おそらく……だがさくらはこちらの世界のものではない。魔のもの……いや、それならば強い魔素が体から滲み出ているはず。さくらはそれどころか心地のいい香りが沸き立ってきているような。そんな感じだった。

カインもそれに気がついたんだろう。


あいつは本当に堅物で色ごとは全くだった。カインの母が娼婦とゆう立場のため王位継承権はあるがとても低い。だが、実力で騎士までのし上がってきた。努力をしてきたカインを兄弟としても認めていた。


そんなカインが連れてきたこの少女。カインも色香に当てられたのか?多分勘がただしければカインは強烈にさくらに惹かれている。だが、おれの運命の番の可能性もある。慎重に事を進めなければいけなさそうだな。



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