第3話

じっと見つめる王様のジリジリした視線を感じながら、さくらは素早くドレスに袖を通した。コルセットなどはつけた事もないのでぐいぐい引っ張られるとぐえっとなったがなんとか声に出さす我慢した。コルセットで胸元がぐいっと上がり胸元が気になるスタイルだけど、真っ裸よりはましだった。


「あ、ありがとうごさいました」


さくらはぺこりと頭をさげる。メイドさんたちは少し目を見開きすぐに頭を下げ、下がっていった。

すっと王様が立ち上がってさくらの首についた首輪に触れた。するとパキンとゆう音とともに首輪はベッドにぽすんと落ちた。

さくらはほっとこっそり息を吐いた。

自分の中にある魔力が血がめぐるように体中に行き渡ったような感覚があった。


「さくら、そなたの部屋に案内させる。宮の中は自由にして構わない。だが、城の外に勝手に出ることは許さん。よいな」


強めの語気で言われさくらはコクコクと首を立てに振った。



「さくらを部屋に案内しろ」


「かしこまりました。さくら様ご案内させて頂きます」


さくらベットからぴょこんと飛び降り執事さんについていこうと靴をはいて、トコトコと執事さんのもとに歩いていこうとした。


その手首をぐいっとつかまれる。王様に。


「へ?」


情けない声がでて振り返った。

王様の鋭い視線にビクリと身を竦ませてしまった。

え? なんか不敬なことしたの?えー…わかんない。そのまま通り過ぎるとかが礼儀ない?とか?

ぐるぐる考えるさくらの表情をながめながら王様自身自分に驚いていた。

なぜ引き止めたのかも分からなかった。


「あ、あの……な、なにか?」


さくらはこくりとつばをのみながら震える声で問いかけた。


「....」



王様は何も言わず手首から手を離した。


さくらはこてんと横に首をかしげ、少しかんがえドレスの裾を少しつまみぺこりとお辞儀した。

さくらはふわりと笑みを作ると


「では、ありがとうございます」


そういって執事さんのもとに歩いていきそのまま部屋を後にした。

さくらが消えていった扉を熱い視線でみつめる王がそこにいることを、さくら本人は全く気づいていないのであった。

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