第6話~イソトマ~

 ~イソトマ~


 有美、あなたを困らせたかった。

 ただそれだけで良かった。


 復讐なのかって?

 そこまで強い恨みでもなかったし、だってさぁ。男の気持ちが簡単に心移りすることくらい知っているし。

 そこまで初心でもないことくらい、あなたは知ってるでしょ。


 佳也よしやは私の誘いに簡単に落ちた。それにたった一度だけなの、それだけで私は満足したわ。


 親友の婚約者を寝取るなんて最低だよね。

 私だってそう思ったわ。

 でもね、人が大切にしているものって、どうしてこうきらめいてみえるのかな。


 あの日のことを覚えてる?


 そう、私が高橋先輩に告白した冬の日、有美は応援するって言ってくれたよね。

 だから私は思い切って自分の気持ちを伝えたの。


 だけど、高橋先輩は私に告白してくれた。

 有美に告白したあとで、そんな気になれないって。


 そんなこと、言ってくれなかったよね。それってどうしてなの?

 私に同情したから?

 私には理解出来なかった。

 あれからあなたは高橋先輩とつきあい始めたよね。



 その事がどれだけ私の心を傷つけたのか分からなかったの?

 あの日から、私は変わったのかもしれないし、これが本来の姿かもしれない。


 これからも私は、あなたをこっそりと傷つけると思うけど。


 とにかく、結婚おめでとう。


 幸せになることを祈ってるわ。


 私はずっと有美のそばにいるからね。




(了)

 ※猛毒をもった女友達?……😱


 花言葉・強烈な誘惑・猛毒


 茎から出る液体に毒を含みます、アルカロイド系統のイソトミンという毒をもっているからです。汁が目に入ってしまった児童が、救急車に運ばれた事件もあります。目に入ると失明の恐れもあり、この毒素に由来して猛毒と花言葉がつけられています。


 優しい知らせ・心を開くという真逆の花言葉も持っているそうです。



 ✿五月十三日の花言葉に添えて……


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