空を涉る

  空を涉る


 


蝶鮫てふざめかはこしらへた靴


 水の上をも

 また空をも


きつと步かれようとは申します

さうしてあの子は旅立ちました



 蝶鮫てふざめの革にはうろことげ

 求肥ぎうひあなうらに血がにじ



血の色の雨しも降らば

あの子が空を涉るとき



 雨には涙も混じりませう



何かを成遂なしとげるとは

きつとさういふことではありませうか



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