第27話 コロナが小説投稿サイトに与えた影響

 新型コロナウイルス感染症ワクチンを接種された方も多いと存じます。

 これにより、日本は集団免疫を獲得したのか、ウイルス自体が弱毒化して感染伝播力が増したのかわかりませんが、東京都の本日の感染者数は20名となりました。


 デルタ株より感染伝播力が高く、それでいて弱毒化して後遺症を出さない感染になったのだとしたら、世界でも稀な感染縮小は説明がつきます。

 これについては「牛痘」コラムで後日書きたいと思います。



 今回のテーマはそんな新型コロナウイルス感染症が引き起こした「小説投稿サイトの利用実態の変化」についてです。


 新型コロナ以前、小説投稿サイトは中高生が主に読むものでした。

 しかし新型コロナ以後は、中高生が離れてしまったのです。

 なぜでしょうか。


 スマートフォンを使って他にやることが出来たからです。

 授業がオンライン化し、自宅からスマートフォンで学校と繋がっていると、その間は他のサイトを見ている余裕はありません。

 たとえ他のサイトを見ていたとして、授業が始まるとまた学校と繋げる必要がありますので、手間と時間がかかります。しかも一度ログアウトしているので、次も必ず繋がる保証がありません。

 残念ながら、現在のインターネット環境は確実なログインを保証していないのです。

 だから、中高生は学校の授業の合間に小説投稿サイトを閲覧できなくなりました。

 そしてスマートフォンを見つめ続ける時間がネット授業に奪われた。


 こうして「活字離れ」は加速したのです。


 小説投稿サイトに作品を投稿している方は肌感覚でわかっているかもしれません。

 全体の閲覧数自体はあまり変わらないか微減なのに、ウケる作品の傾向がズレているような印象を受けます。


 これまで中高生向けに書いていたラブコメも、なぜかウケが悪くなった。

 逆にこれまでウケなかったラブコメがなぜかウケるようになった。


 これが「中高生の活字離れ」に起因しているとは誰も思いますまい。


 では中高生が去って、誰が入ってきたのか。

 中高年、いわゆる「社会人」です。


 社会人は新型コロナウイルス感染症でリモートワークに移行する会社も増えましたが、リモートワークはパソコンを使うのが当たり前です。中高生のネット授業のようにスマートフォンを独占されません。

 これが実に重要です。


 社会人ならパソコンでリモートワークしていても、スマートフォンで別のことができます。

 これを機会に株式取引に乗り出す方が大いに増えました。

 「コロナショック」と「コロナバブル」によって資産を大きく減らした人、大きく増やした人を生み出しました。


 では株式取引だけが増えたのかといえば違います。


 娯楽として「小説を読む」習慣があった社会人は、「小説投稿サイト」に注目したのです。

 そもそも新型コロナ蔓延により、人が集う書店へ足が向かわなくなり、代わりとなったのが電子書籍と「小説投稿サイト」です。


 電子書籍の売上が増えるとともに、小説を無料で読める「小説投稿サイト」へにわかにスポットライトが当たりました。


 これにより、ランキングにも影響が現れてきています。


 これまでの「異世界転生ファンタジー」の独り勝ちから、「ラブコメ」「恋愛(ラブロマンス)」も含めた日常系の作品も注目されるようになったのです。


 文芸を読みたい人は、ハードカバーの書籍を買うでしょうし、書店に出向くのが難しくても電子書籍を変えばよい。

 ですが、ライトノベルや日常系の軽いタッチの小説であれば、なにもお金を出すまでもなく「小説投稿サイト」で読めばよいと知恵をつけたのです。

 またリモートワークや出社規制などで給与が下がった社会人は、無料で楽しめる「小説投稿サイト」に娯楽を求めました。


 これにより以前から一定の人気を誇っていた「NTR」や「スローライフ」が俄然注目を集めます。

 社会人がそれわ求めて積極的に読むようになったからです。


 中高生が小説投稿サイトに戻ってくるには、もう一度「活字の楽しさ」に目覚めてもらわないと難しい。ネット授業でスマートフォンが専有されていた頃の行動がまだ抜けきらないのです。

 しかし社会人は元々「活字慣れ」していますし、パソコンとスマートフォンを併用してきましたので、新型コロナがここまで後退しても引き続き「小説投稿サイト」を利用しています。


 つまり新型コロナウイルス感染症が広まる以前の2019年までと、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年以降では読まれる作品がじょじょに変化しているのです。

 そして「アフターコロナ」とも呼べる2021年10月以降、まだ中高生は戻ってきていません。「活字離れ」している世代ですから、戻ってくるともかぎらないのです。

 しかし複数の端末を持っていた社会人が、その間に「小説投稿サイト」を侵食して一大勢力を築くに至りました。


 となれば、今回の「カクヨムコン7」でも、昨年同様のウケる傾向が出てくるはずです。


 私は「NTR」や「スローライフ」には向いていないので、あいかわらず無骨な戦争小説でも書いて出展致します。

 現代劇も新たに執筆中ですが、間に合うかどうか微妙なところです。

 といいながら今日も2話書きましたが。

 通院する日は1話も書けないかもしれませんから、稼げる今のうちに先行しておきます。


 皆様も、ランキングなどを参考にして、評価される傾向の違いを見つけ出してみてください。

 おそらく昨年と同じ傾向であろうとは思われます。



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