第23話 価値を高める
どんなことにも当てはまりますが、多くの人の注目を集めたければ「価値を高めて」ください。
「価値を高めた」作品は、それだけで読み手が集まって高評価をしてくれます。
高評価を得たいなら「価値を高める」必要があるのです。
ではどのようにして「価値を高めれ」ばよいのでしょうか。
なにはなくとも「作品の価値」がたいせつです。
「作品の価値」が高まれば、「書き手の価値」は付随して高まります。
先に「書き手の価値」を高めてしまうと、低い価値しかない作品を目の当たりにした読み手は潮が引くように去っています。
皆がフォローしていたので自分もフォローしようと思っていたけど、「作品の価値」が低すぎて話にならない。
これでは「書き手の価値」すら低めてしまいます。
そして一度定まった「価値」基準は早晩改まりません。
よほどのビッグタイトルが生まれないかぎり、読み手は戻ってこないと覚悟しましょう。
「書き手の価値」とは、「価値の高い作品」を量産して高めるものであって、セールストークなどのアピール力だけでどうにかするものではないのです。
では「作品の価値」はどう高めたらよいのでしょうか。
最低限必要なのは「作品を完結させる」ことです。
完結していなければ、評価しようにも基準がありません。
連載中で「面白くなりそうだ」と思っても、「面白い」と確定するには物語の結末から判断する以外ないのです。
どんな結末であっても、とりあえず「完結」しているのが最低条件です。
そのうえで、「どんな結末だったか」が読み応えや面白さといった「作品の価値」を左右します。
もちろん感動的なフィナーレを迎えれば、読み手の満足度が高まります。
しかしハッピーエンドだけが「作品の価値」を高めるわけではありません。
バッドエンドでもディストピアでも、読み手の琴線に触れられれば「作品の価値」は高まるのです。
その作品にふさわしい終わり方、フィナーレになっていれば読み手は高評価をしてくれます。
そして高評価された作品はランキングポイントが高まってランキングに躍り出るのです。
ランキングに載ったら、読み手が次々と現れて読まれていきます。
するとみるみるうちに評価が集まって、さらにランクが上がるのです。
こうやって「作品の価値」は連鎖的に高まっていきます。
一度「価値の高い作品」を読んだら、同じ書き手の作品も読んでみよう、となります。
そして他の作品も「価値が高い」ならそちらも評価されるのです。
こうやって投稿した作品がことごとく面白かったら、初めて「書き手の価値」が高まります。
この自然発生的な「書き手の価値」の高まりが、「小説賞・新人賞」を突破する鍵となります。
そこにひとつの誤解が生じる余地もあります。
「小説賞・新人賞」は応募作がすべてだ、と思いがちです。
「紙の原稿」だけで選考していた頃なら、間違いなく「応募作がすべて」でした。
しかし現在は小説投稿サイト上で「小説賞・新人賞」が開催されています。
選考さんは応募作が面白ければ「作品の価値」を高く評価します。
それと同時に同じ書き手の他作品もチェックします。書き手のページを見れば他作品をすぐに読める状況だからです。
そうやって複数の作品を読んで「書き手の価値」が高ければ、より高い選考も通過しやすくなるはずです。
こう書くと「価値の低い作品は削除したほうがよいな」と思われがちですが、それは早計です。
実際には「書き手の伸びしろ」を見せる意味でも、過去の「価値の低い作品」を残しておくべきなのです。
こんな作品から数カ月でここまでの作品が書けるようになったのか。
その新鮮な驚きは「書き手の価値」を飛躍的に高めてくれます。
将来性を買うにはじゅうぶんな材料だからです。
いつ頃から受賞に値する作品が書けるようになったのか。
今回はまぐれだったのか、実力の高まりの表れなのか。
それを判断するには「過去作」が大きな鍵を握っています。
「価値が低い作品」を残しておくと、選考でマイナス評価される。
一概にそういうものではないことがわかりました。
もちろん百戦百勝の天才は、どこの「小説賞・新人賞」でも求められています。
ですが、ここ数カ月の伸びが顕著だ、と判断されれば「紙の書籍化」を目指すときに編集さんのやる気も湧いてきます。
編集さん次第で実力が花開く可能性もあるからです。
ですが一般の読み手から得られる「書き手の評価」を考えれば「評価の低い作品」は残しておけない。
そう考える方もいますよね。
その場合は「あらすじにいつ投稿したのか」を書いておくとよいでしょう。
書いた順に読んでもらいやすくなりますし、書き手の成長も感じてもらいやすくなります。
この「いつ投稿したか」の情報は、小説を読もうとしたときに画面に表示されますが、読み手の手間を考えれば、「あらすじ欄」にも書いておくべきです。
可能であれば「キャッチコピー欄」でもかまいません。
どの順で書き上げたかがわかれば、一般の読み手も「この時期から先が面白いんだ」と理解しやすくなります。
あなたの「ブランド化」のために、評価の高かった作品だけを残して、低評価を削除する書き手もいらっしゃいますが、もったいないことこのうえありません。
文豪の芥川龍之介氏も夏目漱石氏も太宰治氏も。
どんなに駄作であろうと、発表されたすべての作品が現在まで残っています。
小説投稿サイトとは、昔の「同人誌」のようなものなのです。
一度発表したら、後世まで作品が残るよう配慮しましょう。
それを「人気があまり出なかった」や「評価が低かった」という理由だけで削除してこの世から抹消してはなりません。
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