第21話 小説投稿サイトごとにペンネームを変えるべきか

 小説投稿サイトの利用者は、まず一箇所で投稿を開始し、次第に複数の小説投稿サイトを利用するようになります。


 主に「魅力的な機能」があるからです。

 『カクヨム』ではロイヤルティプログラムがありますので、収益化しやすい点で大きなブランドイメージが築けています。

 それだけでなく、システムも近代的なものですから使いやすいのも魅力です。

 『小説家になろう』なら216万を超えるアカウントがあり、多くの人に読まれるのではないかと高望みして登録している方も多いはず。


 他にも『アルファポリス』『エブリスタ』も特定のジャンルに強いので利用者が多い。


 そこで問題になるのが「小説投稿サイトごとにペンネームを変えるべきか否か」です。




 ペンネームを変えれば、早晩同一人物だとバレる心配はありません。


 しかし財産とも呼べる作品を別のサイトに移植して投稿しようと思ったら、別のペンネームでは都合が悪い。

 まるで他サイトからパクったように見えるからです。


 パクったと疑われると、同一人物であることを証明しないかぎりバッシングは収まりません。


 そう思うと、ペンネームは統一するべきなのか。


 しかしジャンルごとに小説投稿サイトを使い分けている方なら、他サイトの作品を別サイトへ投稿するようなことにはならないでしょう。


 そう考えたら、ペンネームは使い分けるべきではないのか。




 この問題はほぼこの堂々巡りに陥ります。


 ジャンルごとにサイトを使い分けていても、ある小説投稿サイトで「ミステリー」ジャンルの「小説賞・新人賞」が新設されたら、他サイトに掲載している作品を応募したくなりますよね。

 パクリ疑惑を招かず「小説賞・新人賞」に最適な作品を持ってくるにはどうするべきか。


 いちばん簡単なのは「ペンネームを統一する」ことです。


 「異世界ファンタジー」を書いていたサイトに「ミステリー」を移植するくらいなら「統一されたペンネーム」は効果的なのです。

 ですがたとえば「異世界ファンタジー」を書いているけど、別サイトでは成人向け小説を連載している場合。

 当面作品を移植することはありえそうもないので、その場合ブランド化の意味でもペンネームは分けたほうがよいでしょう。


 絶対にこのジャンルを書いていることを知られたくない。


 それほどの強い思いがあるのなら、ペンネームは分けてください。


 単に「異世界ファンタジー」の人格と「ミステリー」の人格を使い分けたいから、くらいの軽い気持ちなら、将来的な「小説賞・新人賞」の新設を見越してペンネームを統一したほうがよいのです。


 「絶対知られたくない」と強い拒絶反応があるのなら、必ず分けておきましょう。

 そしてその作品は絶対に他サイトへ投稿しない決意を固めます。

 どんなに魅力的な「小説賞・新人賞」が新設されても、絶対に移植しないのです。



 ただ人生なにがあるかわかりません。

 あなたにぴったりな「小説賞・新人賞」が他サイトに新設されないともかぎらない。


 では万一に備えてどうするべきか。



 漢字かなローマ字などの違いだけで、まったく同じ読み方をするペンネームが使いやすいでしょう。


 たとえば「光源氏」「光GENJI」「ヒカルゲンジ」と使い分けていたら、どれも「ひかるげんじ」と読みますので「同一人物じゃないか?」とすぐに察せられます。

 そのくせ表記は異なるのですぐに同一人物とはわかりづらい。


 読み方がまったく異なるけれども漢字は一緒、という逆パターンも考えられます。

 たとえば「桜井賢」と書いて「さくらいまさる」「さくらいけん」と表記していたら、すぐに同一人物だとは気づかれにくく、その割にネタがバレると「やっぱり同じ人物か」と納得してもらいやすい。


 上記を混ぜて「桜井賢」「櫻井まさる」を使い分けていたら。

 これ、なかなか同一人物とは気づきませんよね。

 普通「賢」は「けん」と読んでしまいますから、つい思い込みで「別人」認定してしまう。

 こういった認識のズレを利用して戦略的にペンネームを付けている方もいらっしゃるでしょう。




 ペンネーム問題として、意を決して本名で勝負する方もいるかもしれません。


 「小説賞・新人賞」へ応募するためだけに小説投稿サイトに登録しているのならそれでもよいかもしれません。

 しかし受賞しなかったら、本名のブランドイメージが傷ついてしまいます。


 幸いライトノベルはペンネームが幅を利かせていますので、たとえ本名のブランドイメージを損ねても取り返しはききます。


 しかし「芥川龍之介賞」「直木三十五賞」は基本的に本名で勝負しますので、一度本名のブランドイメージを損ねると取り返せません。

 悪いイメージがついてまわるのです。


 ですので、たとえ純文学を書いていても、小説投稿サイトの「小説賞・新人賞」へ応募する際はペンネームで、仮に「紙の書籍化」したときにだけ本名で勝負してください。


 可能なかぎり本名に泥を塗らないようにしましょう。


 そういう私は、本名で「紙の書籍化」は難しいんですよね。

 以前物議を醸したペンネームと同じ名前なので。

 本名で投稿したら、要らぬバッシングを受けてしまいかねません。


 少なくとも純文学へ挑戦するつもりはないので、今のところ問題ないのですが、仮に「紙の書籍化」したときもペンネームで、ということになりそうです。


 捕らぬ狸の皮算用。


 どうせすぐにどうこうなるわけでもないので、当面はペンネームで伸び伸び投稿していく所存。

 そのためにも、前回の五要素「読みやすい」「書きやすい」「長すぎず短すぎない」「憶えやすい」「かぶらない」を満たしたペンネームを考えておきます。


 皆様のペンネーム事情はさらに複雑かもしれませんね。


 変えるにはタイミングが必要です。

 なんのきっかけもないのにペンネームを次々と変えていっては、ペンネームのブランドイメージが付きませんからね。


 ペンネームは戦略的に付けましょう。



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