第3話 王国消滅の経緯
時間を少々
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
突如として、何の前触れもなく“何者”かにより襲撃されてしまったエヴァグリム城。
その事に、またもや“あの国”の事が―――と、皆の頭の中を
違う……アウラはこんな事はしない―――
それに、あの頃から比べると想像以上にこの国は普通に戻った―――
優れた軍略家であり政治家でもある
なのだとしたら―――今この城を攻めているヤツ……って、“何者”?
ただ、
そうした疑念もさながらにして、何かの対策を練らない事には―――と、今では立派に国王の役割を果たしている
バカな―――?!もう城門を突破されて、城の第一階層まで侵入を許していると言うの?
信じられない……今の常備兵の練度ならば、アウラ率いる軍団にも抗し得ると言うのに……。
だとしたら、考えられる事は一つのみ―――今この城を攻めてきている連中は、エヴァグリムやネガ・バウムの軍団よりも―――強い……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
シェラザードは、魔王カルブンクリスよりの依頼を、仲間達と協力者達の助力を得てこなす事が出来ました。
そしてまた、その成果により破格の報酬を得て、
しかし、自分が掲げていた目標は達せられた……とはしても、彼女自身は元のまま―――今では城から出奔できているとはいえ、彼女は
「あ゛あ゛あ゛~~~気が滅入るわあぁぁ……」
「どうかしましたか?シェラザード様。」
「あ~~シルフィ……。 一応な、私が目標として掲げていた事は、達せられちゃったわけよ。 け~ど~なあぁ~~
そう……自国に巣食う“身中の蟲”共を退治する為、一時帰国はしたものの、
そしてまた
以前、自分の“身代わり”にと仕立て上げたシルフィに愚痴を垂れていたのは、そうした事でもあったのです。
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けれど今―――王国を襲っている未曽有の危機……
今現在この国を攻めているのが、ダーク・エルフの国『ネガ・バウム』ではないとしたら、この国を奪う事で利を得るのはどこの国か……とも思ってしまったのでしたが。
ふとしたきっかけで知れてしまう―――
えっ―――こいつら…………
今現在、エヴァグリムこの国を攻めている“集団”―――
なんで……こいつら―――『ラプラス』が!?
そう……正確を期するなら、この魔界の存在ではなかった者達の仕業。
しかも―――
こいつ―――ッ!?
今まで見てきた……知ってきたヤツらと明らかに違う!?
自分達が魔王カルブンクリスの依頼により討伐した、その時点でのラプラスを率いていた者―――ただそれでも、『魔獣』であり『人外』の類だった……。
けれども―――今、エヴァグリムこの国を攻め立てていたのは……
「お父様―――早くお逃げになって! もうこの城は陥落します!!」
「シェラか……いや、逃げるのはお前だけにしなさい。」
「(え?)けど……この国の王たるお父様が―――」
「私はな……シェラ、伯爵の飼い犬だった―――
伯爵家の後ろ盾……援助がなければ、私の子爵家の存続すら危うかったのだ。
私が愛した妻―――ヒルデガルドとの政略結婚……
あれは、妻ヒルダの行き過ぎた行為を抑制―――或いは監視する為の手立てだったが……私とヒルダは、例え仕組まれた
だが……現実とは非情でな―――愛した女を『殺せ』と、主家である伯爵から命令が下された……。
そして次には、娘であるお前を『監視せよ』との事だ。
私は……娘であるお前に、父親らしい事は何一つとしてやれていなかった。
しかしな―――シェラ、お前が伯爵たちを粛清してくれたお蔭で、私は自由と成れたのだ……。
だから今度は、お前が自由になりなさい―――
そして、こうした
そしてその意を汲んだものか、シェラザードは涙も見せぬままに父の下を去り―――そして
「グレヴィール!」
「シェラ様―――お父上は?王はどうなされたのです。」
「おやじは……死を覚悟した―――」
「―――なんと……。」
「けれどこれは、おやじが私にくれた最期の
「(―――)判りました。 けれど無理はしないでください、あなた様は私達に残された、唯一の希望なのですから。」
こうして―――自分の許嫁でもある侯爵グレヴィールと別れ、王女は単身森の中へと潜みました。
* * * * * * * * * *
ところが―――……
なんなんだ―――こいつら……。
いくらこっちが気配を断って移動したとしても、きっちりと
いつもの―――いや、以前私達が相手としていた者達とは、明らかに違う!
シェラザードの
高い
なのに―――この時ばかりは通用しない、
そして潜伏場所が割れてしまうと、実にあっけなくシェラザードの身柄は捕らわれてしまったのです。
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その後……自分を
ここで見る―――今回自分の国を攻め込んできた者達の正体を……
その者の正体とは、
そう―――この魔界に於いての、最弱種の一つとされている……
「
けれど相手は……一言も返さない―――
ただ、口を真一文字に結び、自分を見下す目も実に憎々しげであった……。
けれどシェラザードは初見である者に対し、ここまで嫌われる理由などあろうはずがありませんでした。
しかし―――向こうからの“憎悪”が、次第に伝わって来る……
「汚らわしい魔族め……お前は、魔王に
「(……)ああ―――そうだよ……それが何だって言うの?第一今の魔王様は……」
「黙れ!!魔王に
自分の言葉を遮られ、突如として謂れのない殺意を向けられたシェラザード……
果たして彼女の運命や―――いかに?
つづく
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