第10話「学園長には会いたくないです」


 い、今ノックされてたか?俺が気づかなかっただけかな?


「………………………」


 いや、この雰囲気は違う。確実に夜寝ているところにこっそり侵入しようとしている人間の入り方。

 まず部屋に入った時、一言も喋らなかったのが何よりも証拠だ。


(誰だ?)


 ………と思った瞬間、頭に一人の女性を思い浮かべた。


(いや絶対椿さんだわー……)


 目的はなんだ?初日から夜這いか?いや流石にそれは無いよな。


 ………………………無いよな?



 ベットに潜ってから3分くらい経ったその時。


 …………ガチャ……


 ん?ドアが閉まった?帰ったのか。

 俺はゆっくり布団から顔を出した。


 (……いないな。結局誰だったんだ?なんの目的でこの部屋に入ったんだ?)


 まあとりあえず、今日は疲れたし荷解きも明日にして寝よう。




 翌朝


 一時間くらいしか眠れませんでした。

 理由は、まあ部屋の構造は前と同じとは言え、流石に違和感があり眠れなかった………などというありきたりな理由では無い。

 寝れなかった理由は当たり前だが、夜中俺の部屋に入ってきた侵入者のことで頭がいっぱいだったからだ。


 予想は椿さん。でももし本当にただの侵入者で部屋の下見に来ていたのだとしたら……とかを考えているうちに時間が経っていた。

 一時間寝れたのは、まあ良かったな、眠れないよりは。


 身支度を整えてみんながいるであろうリビングに向かう。制服が新しくなったからワクワク気分だ。


 ガチャッ


「おはようございます」


「おはよ。………なんで制服なの?」

 

「え?」


 リビングに入ったらいたのは南さんだけだっだ。パジャマ姿で水を飲もうとしてた。

 ………おかしい。もしかして今日って休みとかだったりするのか?


「今日は学校無いわよ。土曜日でしょ?」


…………………………。


「…………………いや分かってたけど、何か制服着てみたいなーと思ったから着てただけだし……」


「君、隠せてると思ってる?」


「誰にも言わないでください」


「どっ、土下座!?そんなに言われたく無いの?弱み握ってしまったなぁー」


 南さんは悪魔か何かか?めっちゃゲスい顔してる……。


 今日は土曜日、なるほど。俺は拉致された日から何日間か眠っていたのだろう。俺の中だと今日が金曜日の感覚。一日中寝ていたのか?

 と、そこへ拉致した本人が現れた。


「あら?二人とも早いですね、今日は土曜日なのに」


「……羽咲さん、自分は拉致された日から何日間眠ってたんですか?」


「たしか一週間と一日ですかね」


「は!?」


 俺そんなに眠ってたの?どんな薬飲ませたんだよ。

 というか俺が起きた時、空腹はあったけど具合が悪いとかは特になかったな。栄養はどう取ってたんだ?謎が増える………。


「そんなに寝てたなんて聞いてませんよ……羽咲さん、まだ何か言い忘れてることありませんか?」


「ないですよ。今の話はたまたま言い忘れてただけで………」


「はあ……。良いですか?何か俺に言わなければならないことがあったらすぐに言ってくださいね?この学校の男女比のことも言われてませんでしたし………」


「うぅ………」


「羽咲さん、真面目なように見えて忘れっぽいからなぁ」


 南さんもこう言っている。やはり少し抜けているところがあるみたいだな。今両手で顔を隠してるけど、耳が赤くなってるし顔もどうせ真っ赤になっていることがバレバレ。年上なのに何か………癒されるなぁ。


「顔真っ赤ですね」


「わざわざ口にして言わなくてもいいんじゃないかな!」


 羽咲さんは顔をあげてこっちをムスッとした顔で見てきて……


「……………今日が学校と思ったから制服着てるんでしょ。今日が休みとも知らずに」


「っ!?ち、違います!これはサイズが合っているのか着てみて、皆さんにどうか聞いてみようと思ったから着たのであって、休みということはわかってましたから別に間違えたとかじゃ無いから勘違いしないでよね!」


「つ、ツンデレ………。はあ、そういう性格(キャラ)なのね……。よく覚えておくよ」


「忘れてください」


「まあ、それはどうでもよくてね」


「どうでもよく無いんですけどね」


「今日は、深奈君に午前中私がこの学校についての話をします。規則とか仕組みとか。まあ大雑把にだけどね」


 昨日疲れたのにあまり眠れてないから、おそらく聞いている時寝てしまうだろう。

 でもこれは俺のせいでは無い。夜中に入ってきた謎の侵入者のせい。だから寝てしまっても俺のせいでは無い。


「寝たら恋愛好き学園長の管轄に吹っ飛ばしますから」


「寝るわけないじゃ無いですか」


 俺が寝るわけなくね?羽咲様の話っすよ?光栄やわ。


 とそこに美坂さんが起きてきた。

 …………………か、可愛い。


「あ、小南ちゃんおはよう」

「おはようー」

「おはようございます」


「………おはよう」


 相変わらず声が細いなぁ。これが平常運転なんだろうけど。


 なんてことを頭の中で喋っていたら目の前に小南さんがやってきた。


「え、えーっとー。何でしょう?」


「……………………」


「ん?」


「……………神田さん、女の子は好き?」


「…………………………は?」




————————————————————

 あとがき

 

 シーズン10きましたね。(ゲームの話)






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