第35話 野球小僧-35
『さて、打席にはニューヒーロー、小林純君。こちらも純という名前で、純×純対決となりました。さて、江川君、大きなフォームから、ストライク!あいかわらずぽんぽんと投げ込んできます』
『とにかくプレッシャーをかけているという感じですね』
『先輩の意地というところですか。第2球、投げた、打った!当たり損ねの内野ゴロ。おっと打球が完全に死んでいます。ショート、直人君前進して前進して、捕って、1塁へ送球、セーフ!打球が詰まったのが幸いしたということですか』
『そうですね。小林君がフルスイングしたわりには、打球の勢いがなくて、ショートの直人君のダッシュが遅れましたね。ただ、本当はサードのジロー君がカットしなければいけないんですが、まぁ判断の難しいところですね』
『力負けしたのが、幸いしたということで、愛球会のほうはこうしたチャンスを生かして欲しいですね。さて、打席にはサンディが入りました』
『女の子だからと侮ってほしくないですね。力一杯勝負してほしいものです』
『4番に据えているということを考えても、江川君も真剣になってくるでしょう。さぁ、セットポジションから第1球を投げた。ストライク!あいかわらず強気ですが、いかがですか、セットからのボールは』
『悪くはないですね。思ったより力が落ちていません。少し投げ急ぎの感がありますから、もう少しフォームを矯正するともっと力が出ますね』
『さぁ、第2球、投げた!打ったぁ!打球はレフトの、上を越えた!は、入った?!入った!ホームラン!すっご~い!入っちゃいました!』
『本当にすごいですね。セットですから、ワインドアップよりボールに力は乗ってませんが、それでも上手くはじき返しました』
『さすが、外人は体のつくりが違うというところでしょうか』
『放送コードに引っかかるわよ』
『へ?失礼しました。サンディ、ゆっくりと3塁を回って、今ホームへ、ホームイン。2点先取です。歓迎の嵐の中、嬉しそうです。一方、マウンドの江川君は憮然としています』
「あれが打たれるとは思わなかったな」東
「なんだ、あいつは。化け物か?」江川
「悪い球じゃなかったぞ。完全にあいつの方が上だってことだ」東
「ちっ」江川
「次は慎重にいけばいいさ。まだ、1回だ」野村
「そう、野村の言うとおりだ。あとは、たいしたことはない」東
「えぇ、わかりました。もう打たせませんよ」江川
「よし、行くぞ」東
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