第19話お嫁さんがいつの間にか出来ました

翌日、道灌さんが出発前に目通りさせてい人が居ると言っていたので主殿で待っていると、道灌さんに連れられて女の子が入って来た。


「太田道灌の娘、椿と申します。 不束者ですが末永く宜しくお願い申し上げます」

「はい? 末永くってどういう事?」


会わせたい人が居るって言うから待ってたけど、いきなり嫁入りの際口にするようなセリフを言われ思考が停止する。


「恐れながら、不肖の娘なれど宗麟様のお側において頂ければと」

「いや、待たれよ! 道灌殿、宗麟様のお側には我が娘の照がおりますので突然そのような事を申されても」


いや、2人とも自分そっちのけで娘を嫁にしようとしないで頂けますか。

まあ照姫さんも椿姫さんも可愛いから良いんだけど、2人とも若いよね?

照姫さん14歳だし、椿姫さんも恐らく同じぐらいの歳だよね?


「宗麟様、椿は側室でも構いませんので是非ともお側に」

「お2人ともちょっと待った!! 照姫さんも椿姫さんもまだ若いよね? 側室とか話が早くない? そもそも正妻も居ないし!!」


「いえ、そのような事は、照は14にございますればいつ嫁に行ってもおかしくない歳でございます。 正室の座は必要に応じて明け渡すのが世の常ですので是非とも照を…」

「左様でございます。 正妻とまでは申しませぬので是非にも椿をお側に!」


ダメだ…。

道灌さんが娘連れて来た時点で泰経さんも負けじと照姫さんを最低でも側室にしようとしてる。

よくよく考えたらこの時代って初潮を迎えたら嫁に行けると判断されるんだった。

日本だったら犯罪だよ?

女の子は16歳で結婚出来るけど、確かもう暫くしたら18歳になるはずだし…。


「恐れながら宗麟様、椿を側室としてお側において頂く事は某が宗麟様に人質を出したと同じようなもの、家臣や去就の定かでない国人にも某が宗麟様の家臣となったと知らしめる事にもなりますので」


反則だ!!

人質って概念もどうかと思うけど今後の戦略にも影響してくると言われたら断れないじゃん!!

これで拒否したら自分が道灌さんを信用してない、または家臣と認めてないと思われかねないし、不仲と言う噂すら立ちかねない。


泰経さんはなんか既に納得してるし、諦めるしか…、いや諦めたら犯罪者に…、いやここは日本じゃないから法律は関係ない…、けど倫理的に…。


「では道灌殿、某は宗麟様と石神井城に戻りますので椿殿も一緒にお連れ致しましょう」

「泰経殿、どうぞよしなに」


はい、自分の意思は関係なく石神井城に来るそうです。

自分が手を出さなければ良いんだよね。

うん、事故が起きないように注意しよう。

日本の法律はこの時代には適用されないし、事故が起きたら起きたで…。


因みに石神井城に向かいながら泰経さんと江戸城の今後を話したけど、泰明さんを城代として入ってもらう事になった。

木戸さんを城代のままにしとくと自分が色々と頼んだ事に加え城代としての仕事に忙殺されてしまうかららしい。

道灌さんも木戸さんの手助けが出来る家臣を残して行ってくれたけど、専念させた方が効率良いしね。

江戸主変は関所の撤廃と楽市楽座も導入したから人の流れやどの程度効果が上がったか調べて貰わないといけないし。


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※補足

この時代と言うよりも戦国時代後期(安土桃山時代)頃までは正室、側室と言う定義は曖昧で正室が居ても位の高いの人の娘等と婚姻した場合、正妻の座は位の高い人の娘がなり、今まで正妻だった人が側室になるという事もあたそうです。

因みに権力者や知名度のある人が、妻が居るにも関わらず他の女性と関係を持っても週刊誌やワイドショーで叩かれる事は無かったそうです。

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