第47話 輝かしき王アーサー3
「なるほど……ここ最近のアンデットモンスターの活発化には一人の冒険者が絡んでいるのですね。そして、その女性があなたを追放したパーティーの一員であると……中々奇妙の縁ですね」
俺が幽霊屋敷で見た話を聞いたアーサーさんは、何とも言えない表情で俺の言葉を繰り返す。その表情からは俺にはわからない、やはり俺と同じパーティーだったっていうのが引っかかっているのだろうか。
「ああ、失礼。ちょっと色々と考えていましたのです。別にあなたを疑っているわけではありませんのでご安心ください。それで……あなたの知っているルフェイという女性のスキルならば、今回の様に同時多発的にリッチを暴れさせることは可能でしょうか?」
「可能だと思います……リッチを作る事ができるのは驚きましたが、彼女のギフトならアンデット達を制御して、同じタイミングで暴れさせたりも可能です」
「なるほど……ならば納得ですね。ルフェイ……おそらく偽名でしょうが、モードレットという元冒険者が姿を消したのも無関係ではないでしょうね。全くどれだけ私を王にしたくないんでしょうかね……」
「モードレットを知っているんですか!?」
「モードレットってこの前私が倒したやつだよね、セイン君を追放したっていう……」
予想外の場所で彼の名前を聞いた俺とエレインさんは顔を見合わせる。Bランクにすぎないあいつをなんで王族のアーサー様が知っているのだろうか? 俺の疑問にアーサー様は溜息をつきながら答えた。
「恥ずかしながら、私の父ウーサーは、宮廷魔術師に手を出したことがあるんですよ。そして、その時にできた子がモードレットなのです。最近、私が聖剣を抜いたことによって、何とか権力を握りたい方々が彼を祭り上げようとしているんですよ」
「え……ですが、アーサー様は選定の聖剣『カリバーン』を抜いたんですよね? だったら、王はあなたに確定なのでは……」
「そうですね、ただ王とは剣を抜いた男がなるものでしょう? 女性では女王ですからね。そこを突いて代わりの者を王に仕立て上げようとしているのか、それとも継承の儀式自体を妨害するつもりなのか……判断が難しいですね……」
「アーサー!! それはまだ秘密だろう。セイン君を巻き込むつもりか!?」
「え……?」
アーサー様の言葉をエレインさんが遮る。だけど、俺にはもう聞こえていた。アーサー様が女性だって……? 俺は思わず彼……いや、彼女を上から下までみてしまうが、確かに髪を降ろして、女性用のドレスを着れば美しい女性に見えそうである。だけど、理解が追いつかない。なんで男装をしているんだ。
「いきなりこんな事を言われても、信じられないですよね。論より証拠と言いますからね。失礼します」
「おい、アーサー!?」
そう言うと混乱している俺の手をとってアーサー様は自分の胸に押し付ける。柔らかい……男性にはないこの感覚……
「おっぱいだぁぁぁぁぁ」
「うわぁ……」
俺は思わず叫んでしまった。エレインさんのごみを見るような目と、アーサー様の苦笑している姿がすごい痛かった。
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