第三章 陰謀論者にはこんな人がいる!

教祖様

 第三章からは、陰謀論者そのものにスポットを当て、簡単に分類して紹介する。


 まず、最も影響力があり実害も大きい教祖様型陰謀論者。その名の通り、たくさんの信者を従えてデマをばら撒いている。

 教祖様型にもタイプがあり、肩書や知名度を利用して金儲けをするタイプと、一般人が陰謀論の発信を続けるうちにフォロワーを集め、教祖に成長したタイプがある。


 前者の主な活動場所はSNSやセミナー、著書で、医師や〇〇研究者のような立派な肩書を持っている。もっともらしいことを言っているように見えても、その世界では何の実績もないことも珍しくない。

 例えば、ファイザー製薬元副社長を名乗る博士、反ワクチン12人のドン(海外発の反ワクチンデマの大半は12人のインフルエンサーから発信されており、彼らはワクチンビジネスで莫大な収益を得ている)などが有名だ。日本だと、最近Twitterアカウントを凍結された反医学の医師が挙げられる。


 後者はかなり危ない。発信する内容が過激であればあるほど目に留まるのがSNSなので、有名人や公式アカウントでもないのに極端にフォロワーの多いアカウントは発言が偏っていることが多い。似た考えを持つフォロワーがどんどん集まり、反対意見やアンチをすり潰していくので、アカウント主は更に過激化していき、同時に退路が断たれていく。アカウントが成長すればするほど「やっぱり間違ってました。ごめんなさい」が言えなくなるのだ。

 この現象は陰謀論だけに限ったことではないが、やはりこの手のアカウントには近寄らないほうがいい。


 教祖様型陰謀論者は見分けが簡単だ。彼らのコミュニティはまるで危ない新興宗教のようだし、金の匂いがすさまじい。講演、セミナー、グッズなど、信者から金を搾り取るための仕組みが充実している。

 しかし、信者でない一般人はよく知らない怪しい奴のセミナーに参加したり、オリジナルグッズを買ったりしない。ならどこから陰謀論に釣られてしまうのだろう。


 きっかけはどこにでもある。たまたま見かけた広告、近所の人の誘い、SNSで見つけた変わった投稿など。何かに興味を持ち「ちょっと調べてみよう」とスマホを開いたとき、最初に目に入ったものが陰謀論ということもある。情報収集の始めにYou TubeやSNSを使うのはおすすめしない。


 例えば反医学書籍。今ならワクチン関係の陰謀論を発信していることが多い。この手の書籍は「〇〇の不都合な真実」「本当は〇〇な□□」のような人目を引くタイトルが付けられている。

 よく観察してみると、反医学書籍はごく少数の人間だけが出版しているものだとわかる。そうでないマイナー書籍の信憑性を知りたいときは、参考文献を見てみよう。参考文献の著者に「またお前か」と呟きたくなる人物がいたり、怪しいタイトルの書籍があるときは要注意だ。

 そして歴史、政治関係。日本と犬猿の仲の中韓に関わるものが多い。

 戦争犯罪や歴史問題は、真実が完全に明るみになる日はきっとやってこない。相手側が嘘で国民の目を曇らせているように見えたとき、こちら側が同じことをしていない保証はどこにもない(この考えが行き過ぎると陰謀論者になってしまうので気をつけよう)。日本人が他国と比べて道徳的で特別な民族に見えるのは、あなたが日本人でただ世界を知らないだけだからだ。


 最後に。医学でも科学でも歴史でも、学問でこれまでの常識を覆すような大発見があったとき、それがどれだけ他の学者や利害関係者にとって不都合なものだとしても、その発見はまず論文になる。TwitterにもYou Tubeにも出てこない。論文は内容が正しいかどうか判断する査読を受け、正しくなければ撤回される。「本当はこっちが正しいのだが利権のために潰された真実」は滅多に存在しないし、一般人にはまず知ることができない。

 


 

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