[7話]矢島健と休日4

翌日、忌まわしいくらいに空は快晴だ。雲くらいが丁度いい。

月曜日はなにかと学校に行きたくない気分になる。

それに気まずい、あんなふうに鉢合わせするとは正直想定外だった。

朝飯を適当に有希と済ませる。オヤジ達は働く社畜なので、

出るぎりぎりくらいまで寝ている。まぁ俺と有希の面倒を見るには

何かと必要なのだろう。こういうのみるとマジ働きたくないでござる。


「お兄ちゃん、なんかあった」

「いつもどおり、低常運転だよ」

俺は有希を自転車に乗せて走り出した。自分で歩けるよと話しだが

妹がせがむので仕方なしに乗せた。

「そういうのいいから、いつも3割ましで変だったよ」

有希は俺のようがいつも以上に変更だといった。

そんなに変なところあったか。いつもどおり、有希メシ、コーヒー、

洗い物頼むの3段活用だったはず。

「どこがだよ」

「いつも以上に屁理屈だと口が数少ないというか。いつもなんかどうでもいい

 話が少ないから」

「む」

 妹相手にはバレるものなのかも。後どうでもいいはお兄ちゃん悲しい。

「なんだか知らないけど、めんどうはやだよ」

 たしかに面倒くさいのは嫌だよね。

 人間関係とかこじれるとまじめんどう。

「そんなことになんないぞ」

「まぁいいけど」


有希はどうでもいいという顔をしていた。

そんな話をしている内に有希の学校近くについた。

「お家に帰ったら仕方ないから相手してあげる」

「上から目線〰」

「いつもいろいろと有希はやってますからね」

 有希が慎ましい胸で自慢げに言ってきた。

「確かに」

 有希は家事全般をやってくれている。

「いつも助かってるよ。ありがとうね小姑ちゃん」

「それは言わない約束でしょ。じゃあお兄ちゃん行くね」

有希はちょっと笑いながら俺に言ってきた。

「おう」

妹も学校に届けたし、行くか。


教室に無事到着。

そこには佐々木がいた。

「よ」

「あぁおはよう」

いつも通りいいあいさつが返ってきた。

「放課後、時間あるか」

「あるけど何?」

「まぁあれだその時いうから、とりま放課後教室にいてくれ」

「とりあえずわかった」

そう答えと佐々木は友達グループの方にいった。


放課後、校内はわりと静かになっていた。

佐々木は約束通り待ってくれていた。

「佐々木少し移動するぞ」

「そうなの」

「あぁ」

俺たちは部室やクラブ系のとうに向かった。

俺の空気感のせいなのか、その間無言の時間が続いた。


とある空き教室に着き、ドアを開いた。

「あら二人とも来たようね」

そこは桜井が先にまっていた。

「あれ美奈子」

「こんにちは、佐々木さん」

「どういうこと」佐々木は少し表情、仕草が固くなっていた。

「とにかくこれを受け取って」

桜井よ、いきなりそんな言い方あるか普通。

「はぁ、じゃ俺からもだ」

俺たち2人は不器用なりプレゼントを渡した。


「へぇ、なにかあったけ?」佐々木は何でといいたげに首をかしげる。

「今日はあなたの記念日なのでしょ?」

「うそ知ってるの!」佐々木は驚いていた。

 それに顔も赤くなっているし腕でバタバタ動かしてる。

 どうどう落ち着きなさい。

「その少し見えたから」桜井はやや気まずそうに言った。

佐々木はその場に崩れ落ちた。

「おいどうした」さすがにやぶさかでないよな。

俺は佐々木に質問した。

「だって恥ずかしいもん」

何がだよ。お前らだけで話しが進まっていて、こっちは全くわからんぞ。

「恥ずかしくないは私にもあるの」桜井はそう答えた。

「本当」佐々木は飛ぶ上がるように立ち上がる。

忙しいやつだな。


「そこのやじなんとかくんにも」桜井はいい顔で俺の名前をもじった。

「ちゃんと名前をいえよ」人の名前いじらないでもらえますかね。

「???」佐々木ははてなマークをたくさん浮かべていた。


おいおい、なんかおかしい感じになってきたぞ。

ーーおいどういうことだよ 桜井に近づき小声で文句をいった。

ーー想定外だわ 桜井はなぜなのか考えていた。

ーーやっぱり違うんじゃないか 

俺は確認のために聞いた。


「お前今日は誕生日だよな」

「え、誕生日じゃないよ」

はい、アウト。確認しろうと俺は言った。確実に。これははずい。

「でもあなた大事にそうにしていたじゃない」

「そんなに自分の誕生日でウキウキしないよ」

「それもそうなだよな」

俺は空返事をしてしまった。

こいつ勉強できるくせに案外節穴ではないのか。

「それはねぇ」

佐々木は少しためる。


「美奈子と友達になって二ヶ月だなと思って」

それは俺たちが予想していた答えではなかった。

「そんなことだなんて思いもしなかったわ」桜井は面をくらっていた。

「あぁ」俺も驚いてしまった。

だが、妙にしっくりきた。こいつはたしかにバカだが、

人のことを真っ正面から受け止めるやつだ。

そうじゃないと俺達みたいな偏屈で面倒くさいやつの相手はしないだろう。

「でもこれありがとうね、私のために買って来てくれたんでしょう

それだけでも嬉しいよ」

「そう、それは良かったわ」

なんか2人だけの百合空間を形成していた。

お前らそういうのはちゃおとかマーガレットでやれ。

「やじまーもありがとうね」

「まぁ成り行きでな」

「それでもありがとうね」

「あぁ」返答にこまるな。

まぁ、本人的に満足しているならそれでいいのかもな。


「ねぇせっかくなんだしこれから遊びに行こうよ」

 佐々木が突然提案してきた。

「なんで?」わからん。

「なんかいい気分だから」アバウトな答えが返ってきた。

 おい、ご利用は計画的にだぞ。もう少しなんかあるでしょう。

「私も行くのかしら」桜井は若干乗り気じゃないようす。

というかこういうことに慣れていないのだろう。

「そうだよ!」桜井に佐々木ががっちりホールドする。

「暑いわよ」桜井は嫌な顔をするが、

佐々木は桜井にくっついてご満悦のようだ。

「まじか、俺には帰るべきところが~」俺はそれとなく伝える。

「家にいてもどうせひとりでしょう」

俺の愛戦士はスールで桜井が毒づく。

いや妹もいるからね。

「そうだよ、そうだよ、だからねぇ遊ぼう」佐々木が駄々こねた。

「うるせえ」

なんて清ました顔でえぐるようなことをいうのだろうか、こいつ。

まぁ今日の主役様が遊びたいのなら従ってやるか

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