矢島健の中休み

 俺はいつもの中庭でブレイクタイムをしていた。

中庭といっても端のほうにいる。なぜなら、

中庭には陽キャがリスポーンするからだ。

俺のような種族陰キャとは相性が悪い。

決して羨ましいとかそんなじゃないんだからね。


「あっ、やじまーだ、お~い」

 渡り廊下から、俺がいるにいることに気づいた佐々木が

 手をぶんぶん動かして、こっちに声を掛けて来た。

 そこは伸ばさなくていいのだが、本人的に気に入っているので

 訂正してくれない。

「よ」

「いつもここにいるよね」

そう言って、佐々木は俺の隣に座った。

「そうだな、ずっとここにいた気分だな」

そうだ 、俺、ここをキャンプ地にしようかな。

「そんなことしたもっと目立つよ」

「はぁ目立つ?」

 俺なんてクラス、伏せているか本読んでだけだよ。

「だっていつもなんかひとりでこそこそしてるし。本読んでにあにあしてるの

ちょっとキモイからね」

「キモイとか言うなよ。ひとりのやつは他にもいるだろが。てか見てるのかよ」

 まじかそんな変な顔してる俺。

「別に見えるんだからいいでしょ!!」

ふうん、顔を横にぷいとしながら、言われてな~。


「矢島くんと佐々木さん仲いいんだね」

 佐々木の後ろにいた可愛いこが微笑んでいた。誰よこの美少女は。

「うん」

 はずいから二つ返事しないでくれます。勘違いするから。

「そうか?てか佐々木お隣さんお前の知り合いか」

 さっきの会話で仲いい判定されるのか、内容かなり残念だぞ。

「そうだよ、てか同じクラスじゃん」

「すまん、女子と面識がなくてな」

 俺は基本的に人とかかわらない。俺のクラスはアサシンだから

 基本ステイタスでそういう使用になってるんだよ、たぶん。

「あたし、女子なんだけど」文句をいって俺をポカポカ殴ってきた。

「おい何発かいいの入ってるぞ。加減しろよ」

「矢島くん、僕男なんだけど」由崎がすこし困り顔で顔を掻いた。

なんやて、工藤!!!まじか。

こいつは由崎誠司ゆざき せいじ…

同じクラスメイトなのだが、全く知らなかった。

顔立ちは女より女らしく、華奢で美少女に見えてしまう。

まったくこんなやつがいたことを気付かなかったのか。

由崎は佐々木の隣に座った。


「矢島くんってスポーツ何かやってるの?」

「いや特にやっていないが」

「体育のときいい動きしていたから」

「男子はテニスだっけ」

「そうだよ」

体育の時間は男子はテニス、女子はバレーボールをしている。

「やじまーて運動できるんだ」

「適当に人に返すのがうまいだけだ」

 俺は昔妹相手に卓球や対戦ゲームでいかに泣かさないようにするか

 訓練をつんでいるのだ。たまに手を抜かないで全力を出したら

「お兄ちゃんきらい」とぎゃん泣きされた。

「せいちゃんは確かテニス部だよね、いつも練習がんばってるし」

「へぇーそうなのか」

 今度のぞこうかしら。まって男子だからセーフだよねお巡りさん。

「せいちゃん好きだからねテニス」

「うん、好き」

おいまじかよ、女に告白されたと思ってしまったじゃあないか。

でもこいつ男なんだよな、たぶんまだ確証はないが。


「そうだ、今度テニスでペア組んでよ」

「なんでだ」

「だって矢島くん、返球するの上手だし、僕も練習になるからさ。

 ダメかな?」

最後のダメかな?録音したい案件。

「まぁあれだ、俺はぺアはいつも余り物なるからな、問題ない」

「理由が残念すぎる!!」佐々木さんやいつものことでしょう。

それに余り物には福がある、なのでいつでも俺は福男だということになる。

この説信じるか信じないかはあなた次第です。

とにかく、次の体育は退屈しないですみそうだ。

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