矢島健の休日1

 6月だというのに今日は日差しが暑いという痛い。

 きゃあーお肌焼ける、日焼け止め塗らないと

 俺の不健康な肌が健康的な小麦色に変色してしまう。


 先日、桜井と約束をし、なぜか買い物に行くはめになったわけだが。

 なんのために買い物にいくのかさっぱりわかない。

 この前俺がやらかした件の埋め合わせ的なことだろうか、

 う~ん全く検討つかねえ、そんなことを考えながら歩いていたら

 目的地まで到着した。


 ここは新羅学園駅のとなり駅の大型ショッピングセンターららぽーと。

 休日に多くの買い物客が集う。

 この街で買い物にくるならここがうってつけなのである。

 そして、今日は休日なので家族連れやカップルが多くなる為

 ぶわっと人が多くなる。

 はぁーだるい、日陰者×休日のショッピングモールはミスマッチ過ぎるよ。

 いつもなら家でソファでごろごろしながらゲームか自室で静かに読書三昧の

 ゆったりスロータイムが待っていたのにクソ!


 そんな恨みをつのらせながら、スマホをいじりながら桜井を待っていると

 向こうから一際はどこか儚げな雰囲気に包まれながら青を基調したワンピース着た

 少女が歩いてきた。こんな女が海辺にしてナンパしようものなら、

 確実に振れること請け合いだ。

 特に俺なんかがしようものならあの冷めた目で、存在否定されちゃうんだよな。

 というかナンパしないし海の行かないけどね。

 でもまあ歩いてきた女があいつとは限らないし、そっくりさんかもしれん。

 違う人ならのに「よっ」と声をかけて、「え誰キモイ」となると

 気まずいので、試しに声をかけずにいることにした。


「驚いたはあなたってこの場の空気に馴染ま過ぎてすぐにわかるのね」

 向こうから歩いてきた女が開口一番で俺に対してなかなかエグい言葉づかいして

 きた。そんなやつは桜井しかいない。


「休日に知り合いに会ったら目線を逸らすのは陰の者の暗黙のルールなんだよ。

 お互い干渉しないことで相手の時間を重んじてるだ。」

 俺は櫻井に対して、陰キャのお作法を説いていると、

「私達は待ち合わせしているのだし、この場合そのルールはあまり通用しない

 思うのだけど」

 馬鹿なのかこいつと思って頭を抱えてた。


「妹以外とあまり出かけたないから、あまり意識してなかったわ」

「なんて交友関係が寂しい人なのかしら。 一応嫌ではあるけど、

 私と面識があるのだから不躾な行動は慎みなさい」

 嫌とかその前置きいらないだろう、こころに傷を負ったらどうする。


「で今回のなんで俺たちはららぽーとにいるわけ」

 そんないつもような言葉ラリーをした後、桜井に

 今回の買物の目的を聞きいてみた。


 なんでも佐々木の手帳に何か大切な印が書いていたので

 その日に間に合うようにプレゼントとしたいらしい。

 確認をしたのかと聞くとしていないけど大切そうに

 何度も彼女は手帳を確認していたからそうだと思ったらしい。

 確認はしっかりとれと言いたいが俺もこいつも

 相手との普通の会話がいまいち苦手なのでなんともいえん。

 何かの記念の日と間違えていないだろう。


「俺は友達にプレゼントをあげた経験が皆無だぞ。強いてあるとしたら

 オンラインゲームの中でアイテム交換をしたことがあるくらいだ」

 その経験は現実ではあまり通用することはないだろう。

「佐々木さんに何をあげたらいいのかわからなかったの。

 だから仕方なくあなたに助力頼んのに、全く戦力外過ぎるわよ、矢島くん」

 くそいきなり呼びつけ戦力外とかこのあま。

 まぁこいつこいつ女友達いないから、そこで俺に白羽の矢が立ったわけか。

 しかし、ちょっと待て俺たちだけでプレゼントを選ぶの不安になってきた。

「しかたない応援を呼ぶから少し待て」

「応援?あなたが?」

 訝しげにこちらをみているが、とりあえず無視だ。

 俺はバックからスマホを出し連絡をした。

「ああ、ショッピングモールな」

「はいよ」

「10分くらいで来るらしいから涼しいところで待ってようぜ」


数分後

「おまたせしました」

 とぼとぼとたアホ毛の女の子が歩いてきた。

「うん、待った」

 俺に歩いてきた女の子を冷たくあしらった。

 本当はあまり待っていないのだが

「いや、突然Lineで呼びされんだけど」

「うそだ、ありがとうな」

「ねえ、この子は誰かしら?」櫻井が聞いてきた

「こいつは矢島有希、俺の妹だ」

「どうもどうも矢島有希(やじま ゆき)です。兄がお世話になってます」

 淡い黄色をまといちょっこと立っているアホ毛、有希が行儀よくお辞儀をした。

 有希は俺と違い活発的な女の子で昔から人から好かれるたちなのである。


「あらはじめまして私は櫻井美奈子よ。そうね、、、矢島くんの友達

 ではないわね。クラスメイトでもないからなんなでしょうね」

 そんな可愛いらしい眼差しをしながらこっち向くな。

「いや、俺に聞くなよ、普通に知人で良いだろう」

 ぶっきらぼうにそう答えた。

「あーなるほど。わっかりました」

 こいつなりに俺たちの距離感がわかったらしい。

 さすが俺の妹、話が早くて助かるよ。


「目的はこいつが友達にプレゼントしたいらしい。

 けど俺たちはまともに友達にプレゼントした

 経験なんて悲しいことにしたことがないから、

 お前が頼りだ、有希」

 そう言っている自分が少し恥ずかしくなった。

 情けないぜ。

「そうね、私は昔から付き合いのある人には贈り物あるのだけど、

 学校の知人に贈り物はないの」

 おい、私はいらないだろう。

「なるほどですね。わかりましたではさっそく行きましょう」

「そう、そう言ってくれると助かるわ」

 俺たち3人はショッピングモールへ向かうのだった。



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