碧眼の見つめる先、時代と男たちの生き様が、火の花を散らす。

幕末です。新撰組です。
綺羅星のような男たちの群像に、女の身を隠して剣を振るう仇花一輪、この時点でもう滾るモノがあります!

ヒロインの爽葉は、隊士仲間と無邪気な少年のように騒ぐ一面もありながら、人を斬って泰然自若とする怖い一面もあり、とても魅力的です。
土方歳三、沖田総士などの新撰組の面々はもとより、坂本龍馬、久坂玄瑞らの維新志士も人間性豊かに描かれ、女と知られていないはずの爽葉と悶えるような危うい(?)交流を持ったり持たなかったり!

中でも物語前半、壬生浪士組の筆頭局長、芹沢鴨の存在感が白眉です。
大きな器と、爽葉とも深い部分で理解し合う繊細さを持ちながら、破滅的な気性に抗えず進むしかない姿……これからの展開に固唾を飲んでしまいます。

誠の一字の下、混迷の歴史舞台を白刃でまかり通る!
藍色の髪と碧眼に彩られた、狂おしいほどに純粋な剣士の軌跡です。

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