閑話 仮面レイダーとして

俺にとってそのその日は唐突に訪れた。



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俺の名は獅子王ハヤト、その大層な苗字から幼い頃からよくからかわれていたものだ。

それ故に学生時代消極的だった俺はスポーツには楽しみを見いだせず、勉強で問いを解くことに面白みを感じていた。


西暦2500年の日本、いや大国に併合され領国となった日本地方と言った方が正しいか。

世界は新しく開発された人体に悪影響を及ぼさないとされる大規模破壊兵器の撃ち合いによって崩壊、破滅を待つばかりの状態となっていた。

結果人体にこそ悪影響は薄かったものの地球の土壌や海は完全に汚染され植物はもちろん野生動物など生きていけない死の星となってしまったのである。

世界の各地にある大規模ドームの中にはある一定の富裕層の人間だけが保存された自然の恩恵を受けているというが合成・再生された動植物など自然ではない。

一般の人間は合成バイオプリンターなる機械から産み出された合成ペレットなどしか食べ物はなく、料理という概念は少なくとも日本から消えていた。

完全なるディストピアだと揶揄する者もいたが声が大きいだけの者は淘汰されるのもまた普通であろう。


俺は進学し大学院生としてインターンから最先端技術研究所に出向し、毎日を忙しく研究のため働いていた。いつかこの地球上に幼い頃映画館で観た大自然というものを復活させるために。


研究所は主に【ナノマシン群体】と呼ばれる細胞よりも小さいサイズの機械を開発しており、医療用として欠損部位や病気により失われた内蔵や骨に代わって回復する画期的な発明だった。群体は生き物は当然として非生物の車やバイクなどにも成り代わって形を成すことが可能な程万能であった為・・・それを悪用しようとするものが現れるのも必然だったのだ。



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その日、研究所の所長は己が身体に新発明されたナノマシンを統制・制御する【ヒュージコア・アルファ】を撃ち込んだ。それはどんな物へでも侵食し乗っ取る機能を持っていたためナノマシン研究を個人的に悪用しようとしていた所長は即座にアルファコアに脳機能を奪われ、後に【リカオンアームズ・アルファ】、俺の【宿敵】となるナノマシンの怪物に成り果てたのである。


リカオンは己のナノマシン増殖機能で生み出した【アームズ・コア】を研究所の職員全員に放ち、侵食された人間は【アームズ】と呼ばれる動植物などをモチーフとした怪人に姿を変えてリカオンへ絶対服従の軍団となっていった。


アームズコアを撃ち込まれた俺はリカオンから何故かいたく気に入られたらしく、幹部級怪人へ改造され前線部隊長となってリカオンの尖兵となっていた。

アームズ軍団は日本に唯一残っていたドームへ侵攻し人類を侵食せんとした。もちろん俺も作戦に同行し一人の子供を発見。

そのままコアを撃ち込まんとした時・・・俺は意識が覚醒した。その時不思議な事が起こった、というやつである。


俺を支配していた【アームズコア・ゼロ】は【ヒュージコア・ゼロ】へと変性しユニコーンの怪人だった俺の腹部へ【ゼロムドライバー】手には【レイドカード】が出現。

そのままカードをゼロムドライバーにスキャニングした俺は【仮面レイダーZEROM】へと変身しドームへ侵攻してきていたアームズ共を殲滅し、追い返したのだった。

それが俺、獅子王ハヤトの仮面レイダーとしての初陣だ。



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ミサキと出会ったのは俺の後に幹部怪人の【アイスドラゴン・アームズ】へと改造された彼女との対決のときだった。

ドームを護る者として、ナノマシンの無力化を研究しながら日々過ごしていた俺はその日侵攻してきたアームズの旗頭の彼女と直接対決を行い数時間にも及ぶ激戦を繰り広げる。

疲労困憊の中、僅かなスキをついてファイナルアタックを放ちアイスドラゴン・アームズを撃破すると二度目の奇跡が起こったのだ。彼女の腹部へ俺のものと同型のゼロムドライバーが現れると怪人としての姿から元の人間の姿に戻ることのできたミサキ。


それから彼女と俺は己の中のナノマシン群体と葛藤しながらも最後までリカオンアームズと戦い続けたのだった。



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かつては北海道と呼ばれていた地にリカオンは組織の居城たる超高層ビルを建造。

そこから世界の人類が生き残る全ての国やドームへ向けて【アームズコア拡散弾道ミサイル】を放つ作戦を知った俺たちはたった二人で【ゼロムキャリアー】で乗り付ける。

【ゼロムウインガー】で屋上へ降り立った俺たちを迎えたのはリカオンアームズ。


そこで最終決戦の幕が上がる。


単騎で俺たち二人を圧倒するリカオンとは意外な程早く決着が着いた。

それは所長の意識の覚醒である、ここにきて意識の戻った所長ではあったがそのままミサイルを使うことに躊躇いは無かった。

リカオンの中で全てを見てきた彼はこの世界に絶望していたのだ、それならば全ての人類を滅ぼすためにリカオンの計画を続行しようと発射装置へ手を伸ばした奴向けて俺は最後の【ゼロ・クラッシャー】を両脚で放つ・・・。


ミサイルは内部で誤爆し誘爆にて摩天楼は崩壊することになる。ここに【ヒュージコア・アルファ】の野望は俺とミサキの犠牲の上に潰えることになる。


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仮面レイダーZEROMの物語はここに完結したのであった。

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