第38話二匹の共同作戦か

38,二匹の共同作戦か


ある日の昼間、家に戻ると冷蔵庫の扉が少し開いている。


閉め忘れたのかと思って近づくとやられていた。


魚の骨の入った袋が冷蔵庫から引っ張り出され食いちぎられている。


もちろん、中の骨は食べられてしまってない。


どっちがやったのだろう。


モモ子は今まで冷蔵庫を開けたことはない。


消去法でいくとニャオちゃんしかいない。


ある時、私は目撃した。


冷蔵庫の前のニャオちゃんが右手でひょいと冷蔵庫の扉を開けて中を覗き、


目についたビニール袋を爪に引っ掛けて下へ落とした。


ビニール袋の開いている口に頭を突っ込んで中の獲物を物色する。


すぐに獲物を咥えられずにもたもたしているとモモ子がやって来た。


ニャオちゃんは遠慮してか場所を譲っている。


モモ子は後からゆっくりとやって来てニャオちゃんの出した袋の中を


覗いておもむろに食べる。


袋の口が開いていない場合は袋ごと食いちぎっている。


その時におこぼれにあずかれれば良いが


たいがいはニャオちゃんは近くでその様子を眺めている事になる。


二匹で結託してやっている事ではないようだがモモ子にとってはラッキーな事であろう。


モモ子が自分からしているわけではないので怒られることはないと思っている。


場合によってはけしかけていることもある。


テーブルの上の袋が消えているのもニャオちゃんが引っ張って


下へ落としたものをモモ子が食べているのであった。


モモ子と私の間には暗黙のルールがあった。


テーブルや台の上にあるものは食べてはいけない。


私が取ってテーブルの端に置いてから「ヨシッ」と言わない限り


食べてはいけないというルールである。


唯一、下に落ちたものはそのルールに触れない。


モモ子は私に似て?果物が好きである。


テーブルに置いてあった柿やリンゴをニャオちゃんがテーブルの上に乘った為に


一つ落ちたとする。


すると、それはモモ子のものとなるという計算である。


どうやらモモ子がニャオちゃんの居住を許すようになったのも


そこらへんに理由があるようである。


時にはモモ子がそそのかし、ニャオちゃんがその要望に応えていたようでもある。


二匹で結託していたのである。





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