第25話ネズミ発見

25,ネズミ発見


 毎日、夜寝る時ニャンコちゃんに「ネズミを捕るんだよ」と声を掛けて


二階に上がってゆくせいか、猫ちゃんも食べ物をもらっているお返しに


何かしなくちゃと頑張ったのかある朝、下へ降りると


追いかけっこでもしたような形跡があった。


押し入れの隙間からインコの餌と埃が合体したような物が出ていた。


そして、端切れなどの布類と毛糸玉、そしてなんだかわからない小さな物体


、良く見てみるときれいに歯形を立てた石鹸だった。


そして埃まみれになったユーカリ織の財布、などが点々と散らばっている。


この財布は北海道に行った時のお土産で、私にとっては思い出の品だった。


どこへ仕舞ったかわからなくて探していたものだったが


まさかネズミに盗まれているとは思いもしなかった。


どこかにネズミの死骸かあるいは瀕死状態のネズミでも見つかったら


嫌だなーとか思いながら目で探すが無い。


どうやら狩りは失敗したようだ。


冷蔵庫の裏を掃除したので居場所が無くなってウロチョロしたのかもしれない


と思った私はもっと追い詰めるために三日かけて台所の食器棚や流しの下などを掃除した。


食器棚の下に普段あまり使わないで埃まみれになっている瓶などを取り出した時だった。


奥からピョコッと黒いものが飛び出してきた。


そしてサササーと棚の上に上っていった。


ネズミだった。確かにネズミだった。


私は不意を突かれ心臓が止まりそうなほどビックリした。


そんなところに潜んでいようとは思ってもいなかったからである。


それからは瓶を動かす度にビクビクしながら掃除を続けた。


途中で投げ出すわけにも行かず泣き出したい気持ちを抑えて


棚を掃除し瓶などを元へ戻し開けっ放しだった戸をしっかりと閉めて


ネズミが入れないようにした。


上に上ったネズミは顔だけ出してこちらの様子を窺っている。


良く見ると小さくて可愛いのだがネズミだと思うと憎しみがこみあげてくる。


でも、捕らえる手段がない。


とりあえず出来ることはすべての扉を閉めてネズミの力では開けられないようにした。


壊れている流しの下のドアはガムテープで止めた。


調理台の上のお茶や油、ハチミツやソースの瓶なども整理し


ネズミの隠れ場所を減らした。


そしてこの日から毎日、昼間私が仕事に出ているとき


ニャンコちゃんを台所と居間の続き部屋にいれた。


閉じ込めたという方が正確である。




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