第22話モモ子とニャンコの生活

22,モモ子とニャンコとの生活


 話をもとにもどす。


翌々日、雨が降って寒い日だった。


夜、寝る時に入れていた犬小屋は雨が吹き込むので


寒くなるのはわかりきっている。


今までは桃太郎が居たのでニャンコを家の中に


入れるわけにはいかなかったが今度は違う。


結局のところ私は自分の気持ちに負けて


ニャンコを家の中にいれた。


すっかり情の移ってしまった私は犬小屋の中で


雨に濡れさせるのは忍びなかったのである。


が、心配があった。


私が起きて見ている間はモモ子もニャンコをいじめないだろうが


眠ってしまったらどうなるか。


犬も猫も飼い主が居なくなると性格が変わるのは経験済みである。


考えた末に私が寝ている間だけニャンコをトイレの中に入れておこうと思いついた。


でも、これは失敗だった。


あさ、トイレのドアを開けようとしたら開かないのである。


トイレのドアはドアノブの横の棒を押すと鍵がかかる仕組みになっていた。


どうやらそのノブをニャンコが押してしまったらしい。


ドアは押しても引いても開かない。


都合の良いことに安普請であった為ドアはベニヤ板であった。


ドアノブの棒のある場所をドライバーでこじ開けて


指一本入るぐらいの穴を開けて棒を引っ張った。


ドアは開いた。


何事もなかったようにニャンコはすまして出てきたが


怒りたい気持ちを御さて撫でてしまった。


浅はかな考えを持った私が悪いのである。


この日からニャンコは家と犬小屋との往復、そして時々


外へ出てモモ子の散歩にくっついて来たりとすっかり我が家の子となった。


この分では私が見ていない時もニャンコとモモ子だけにしても大丈夫だろう。


モモ子はニャンコが家の中にいるのを面白くなさそうだが


噛んでしまう事はなさそうである。


モモ子にとっての叔父にあたるジーコというゴールデンレトリバーと


ひいおばあさんにあたるルーシーは猟犬の素質があったので散歩の途中によく猫を捕まえて来た。


もちろん噛んで害を加える事はなかったが得意げに捕まえてくるのだ。


モモ子はその猟犬の素質は受け継いでいないから安心といえば安心なのだが・・・



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