章末 ガリムの末路


「どうして…… 俺が不合格……」


 既に事務所で見習いとして働いていた、ガリムの元に養成学園から届いた封書。自分は合格間違いないと自信満々で封を開けたガリムに待っていったのは、『不合格』の通知だった。


 いや、そんなはずはない。ポイントは稼いだし、他の人の玉もたくさん壊した…… なのに、どうして……? 何度も何度も通知を読み直すガリム。だが、何度通知を見たところで、繰り返されるのは、自分が不合格であるという事実のみ。


 そして、呆然と紙を見つめるガリムに一人の男が近づいてきた。


「ガリム君、ちょっと良いかな……?」


 話しかけてきたのは事務所の代表である討魔師アラン。ガリムに対し、「君は魔法の才能がある」と言ってくれた、ガリムにとっての上司である。


「アランさん……」


 今までガリムに対し優しく、期待を込めて接してくれていたアラン。だが、アランの様子がいつもと違っていたことは、まだ付き合いの短いガリムにとっても明らかであった。


 きっと励ましてくれるんだろう。そうに決まってる。何せ俺には、魔法の才能がある。それはアランさんも認めてくれていた。


 そんなことを期待したがら、アランと2人、事務所の奥にある会議室に入っていったガリムに言い渡されたのは、予想だにしていなかった、内定取り消しの通知であった。


「キミには期待していたんだけどね…… 君ほどの力を持っていながら学園に合格できなかったのは、君自身に討魔師としての素質がなかった、と言わざるを得ない。つまり、私が言いたいことはわかるね、ガリム。君には失望したよ」


 絶望のあまり、ガリムは何も言い返せなかった。自分を認めてくれていると思っていた、上司にも手のひらを返され、捨てられたのだ。


 そのまま荷物をまとめ、見習いとして働き始めていた事務所を去るガリム。ガリムの脳内は自らを不合格とした学園、そして討魔師達に対する怒りが支配していた。


――どうして…… どうして俺が不合格…… 討魔師としての資質がないだと!? 適当なこと言いやがって! 討魔師なんて…… 討魔師なんてくそ食らえだ!


 そのまま街へと姿を消したガリム。それ以来、ガリムの消息を知っている者は誰もいなかった。

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