Ending01―彼らの信念

 蛮族の襲撃を退けた冒険者達は、列車の運行を再開してキングスフォールへと急ぐ。

 しかし、またもや無視できない問題が発生しようとしていた。


GM:再びタービンさんが運転をしているのですが、路線の傍で少女を見つけます。今度は呼び止めているわけではありません。

タービン:なんだろう。とりあえず減速して停車してみるけど。

GM:声を掛けてみますか?

タービン:「どうしたんだい。乗っていくかい。」と声を掛けるよ。

GM:どうやら少女は泣いているみたいですね。

タービン:もしかして、煙草が嫌いだった?

GM:さすがにそういうわけではない(笑)。

少女(GM):「迷子になっちゃったの。」

ベルク:「あらら。」

タービン:「何処に行こうとしてたんだい。」

少女(GM):「線路を辿れば街に帰れると思ったんだけど……」

タービン:「どんな名前の街だい。」

少女(GM):「マグノアってところ。」

シア:「マグノア?」

GM:少女は逆方向、キングスフォールへと繋がるほうの線路に沿って歩いてしまったみたいですね。

シア:「どうしてこんなところにいたの?」

GM:少女は手に薬草を抱えているみたいですね。

少女(GM):「早くこれをお母さんのところまで届けないと……お母さんが……」

タービン:「ボクとしては送ってあげたいんだけど、みんなはどうかな。」

ピア(GM):「その子を送り届けた場合、確実に試験には間に合わないわね。」

ドジソン:「ま、また蛮族かもしれないよ。」

タービン:「二度目はさすがにないんじゃないかなぁ。それに、演技にしては持ってるものが。」

テオドール:「ならば、こちらから質問しよう。その草を何処から取ってきたんだ。」と少女に近寄っていこう。

少女(GM):「南の森から取ってきたの。」

テオドール:「それで、森から出たあとの経緯は。」

少女(GM):「線路が続いている街だから、辿っていけば帰れると思ったの。でも、いくら歩いても全然辿り着けないし……」

テオドール:マグノア草原国から出てどれくらいの時間が経過してます?

GM:半日ぐらいかな。

テオドール:「ふむ、その母親はそんなに危篤な状態なのか。」

少女(GM):「うん。この薬草がないと、治すのは難しいって。」

テオドール:「なるほど。」


シア:「ねぇ、助けてあげないの。」

テオドール:「少なくとも、嘘をついているようには見えない。これが演技であれば、もうお手上げだな。」

シア:「冒険者って、人を助けるのが仕事なんでしょ。この子を見捨てて試験に合格しても嬉しくないかな。」

エルゼン:「そうだね。」

ドジソン:あえてここは逆張りしたいな。

GM:いいんじゃない。

ドジソン:「えっ、助けるのかい!?さっきあんな酷い目に遭ったのに。またあんな目には遭いたくないよ。」

タービン:「大丈夫じゃないかなぁ。」

シア:「この子が助けを求めている以上、手を差し伸べるのが冒険者の役目じゃないの?」

ドジソン:「う、うーん。」悩んでます。

テオドール:「俺自身、まだ冒険者の心得なんてものはよく分からない。ただ、人の助けるのに冒険者かどうかなんてものは関係がないな。」

シア:「誰かが泣いているのは嫌だもの。」

テオドール:「だが、ドジソン。君が言っていること分かる。別に助けたくもない者を助ける必要はない。自分の身を優先したいという考えも間違ってはいないからな。助けを強制するつもりはない。」

ドジソン:「ああ、もう。分かったよ。助けるほうに賛成する、それでいいだろう!?」

タービン:「じゃあ、運転はボクに任せてよ。」

GM:そう遠くない場所に旋回できる場所があることにしよう。

少女(GM):「乗せて行ってくれるの?」

タービン:「そうだよ。徒歩よりはずっと早いからね。なんてったって列車だよ?」

シア:「さぁ、行こう。」

少女(GM):「ありがとう、おにいちゃんおねえちゃんたち。本当にありがとう。」と涙ぐみながら感謝を述べます。

テオドール:「なに、まだ間に合わないと決まったわけではない。最後まで諦める必要はないな。」

エルゼン:「もし駄目でも次の募集を探すわ。」

タービン:「まあ、なんとかなるよ。」

ベルク:「そうっすね。」

テオドール:「これが失敗したとして、死ぬわけではないからな。」

シア:「人生まだまだこれからよ。」

ドジソン:「みんな呑気だなぁ。僕も別にまた探せばいいんだけどさ。」

テオドール:「試験に落ちたら人生が終わるわけではない。逆にこの少女には命がかかっている。助けなければ、一生後悔するかもしれないな。」

ドジソン:「確かにそれはそうだけど。」

ピア(GM):「私もこういうのは放っておけない主義だから、助けるのには賛成よ。試験なんて幾らでも受けなおせるわ。それより、この子の母親の命のほうが大事だもの。」

エルゼン:「じゃあ、戻りましょ。」

ドジソン:「ぼ、僕はお前のことまだ信じてないからな!疑ってるからな!」と捨て台詞を吐いておきます。

シア:「そんなこと言わなくてもいいのにね。」


GM:では、マグノア草原国に半日掛けて戻ってきます。道中何かあるわけではありません。

タービン:片輪ドリフトで時速10kmアップだ。

GM:やめなさい。ともかく、着いた途端に少女は何処かに駆けだしていきます。よほど心配だったのでしょう。もちろん、お礼は言ってくれました。

ベルク:「足元に気を付けるっすよー。」

テオドール:「では、こちらも足元に気を付けながら、急いで帰らなければな。」

シア:「そうだね。」

タービン:「遅れてても、帰らないわけにはいかないからね。」

エルゼン:「ええ。」

GM:皆さんは一日掛けてキングスフォールに戻っていきます。慌てて試験官のいる部屋まで戻ってきますが、試験官は難しい顔をしています。

エルゼン:手をばってんにしています。

タービン:「仕事はきちんとこなしたんだけどねぇ。」

シア:「仕方ないよね。」

ドジソン:「列車が襲われたから、あいつらのせいにできないかな。」

試験官(GM):「それを含めての三日間の試験だったのだ。」

タービン:「含めて?まるで、襲われるのが予想されていたかのような言い方だなぁ。」

テオドール:「ありのままに話すほかないだろう。」

エルゼン:「私は試験の結果よりも、襲ってきた蛮族達のほうが気になるけどね。」

試験官(GM):「何があったとしても、期限は守らなければならない。君達を合格にはできないな。」

テオドール:「妥当だな。」

シア:「そうね。」

エルゼン:「今回はお世話になりました。」

ドジソン:「み、みんな。諦めが早いよ。」

GM:こちらとしては助かるんだけど。

シア:「逆にそっちは諦めが悪いんじゃない?」

ドジソン:「でも、みんな頑張ったじゃないか。」

シア:「頑張るのと約束を守るのは別問題だよ。」

エルゼン:「結果が出せなければ意味はないわ。」

試験官(GM):「君達への話はこれで以上だ。」

タービン:「助けた子が偉いところのお嬢さんだったらまた話は違うんだろうけど、そんな都合の良い話はないよねぇ。」

シア:「私は満足したからいいよ。」

ベルク:「帰るっすかね。」

テオドール:「再試験などはあるのか。無ければピアに今後の判断を仰ぐしかないが。」

ピア(GM):「再試験があるとすれば来年ね。」

ドジソン:「せっかく頑張ったのになぁ。」とぶつくさと言っています。

GM:そんな感じで去ろうとしている人もいれば、ぶつくさと言っている者もいるでしょう。ですが、さすがにこれで終わったりはしない。

エルゼン:な、なんだってー。

GM:いや、知ってたでしょ。

エルゼン:うん。

GM:ここで部屋に入ってくる人物がいます。幼い少女のようですが、とても豪華な衣装を身に纏っているようですね。この人物のことを知っているかどうかは、冒険者レベル+知力ボーナスで判定してみよう。目標値は10です。


【判定結果】

ベルクが出目7で達成値11。

エルゼンが出目10で達成値15。

タービンが出目9で達成値16。

シアが出目6で達成値10。

ドジソンが出目7で達成値12。

テオドールが出目10で達成値14。


GM:判定に成功した方は、この人物が"幼き元老"アリス・アリスデールであることが分かります。

テオドール:いやいやいや。キングスフォール市民だったらさすがに知ってるだろ。

タービン:さすがにね。

アリス(GM):「待ちなさい。この者達は正しいと思ったことをしたまで。私の目指す理想に近い行いだわ。不合格なんてとんでもない。」

試験官(GM):「いや、しかし。こちらにも規則がございまして。」

アリス(GM):「貴方が許可をしないなら構いません。私が許可をすれば良いだけの話です。」

GM:アリスは試験官の言い分を一方的に押し退け、試験官はたじろいでいるようです。

アリス(GM):「私はこの者達と話がしたいの。出て行ってくれるかしら。」

GM:試験官は苦虫を嚙み潰したような表情で部屋から出ていきます。

アリス(GM):「さて、少々お見苦しいところをお見せしてしまったけれど、貴方達が行ったことについては、こちらに既に報告が上がっているわ。こちらに帰る道中で少女を助けて、マグノア草原国まで送り届けたとか。」

シア:「まあ、事実だけど。」

アリス(GM):「先ほど、こちらに文が届けられたの。」と封筒を取り出します。

ベルク:「どういう内容なんすか。」

アリス(GM):「少女の母親は元老院に務めていた経験がある方なの。とてもお世話になった方でね、その方が自分の娘を助けてくれてありがとうございますと礼をしていたわ。このまま貴方達を不合格にしてしまっては、その方に申し訳が立たないの。」

シア:「へぇ。」

アリス(GM):「この判断に不服な方はいるかしら。」

タービン:「いや、別に。」

テオドール:「試験官をあまり邪険にしすぎるのもどうかとは思ったが、結局のところ最終的な決定をするのはそちらだからな。決定に異論はない。」

アリス(GM):「私が元老でいる間は貴方達の活動を認めるわ。」

ドジソン:「ということは僕達、受かったんだ。」

タービン:「てっきり落ちたと思って煙草を吸っちゃったよ。」

エルゼン:「いや、吸わないでください。」

シア:「でも、タービンなら受かっても吸ってたんじゃない?」

タービン:「今はさすがに吸わないよ。」

アリス(GM):「でも、今回は特別扱いよ。貴方達の素行が今後悪いようでしたら、すぐに許可を剥奪するわ。それを頭に置いておくように。列車型冒険者ギルドの第二号としての活躍を期待しているわ。」と言って立ち去ります。


ピア(GM):「な、なんか受かっちゃったわね。」とピアも唖然としているようです。

ドジソン:「よ、よかったぁ。」

タービン:「や、やっぱり吸うんじゃなかったな。タイミングが悪かった。」

テオドール:「幸運だったということだな。」

シア:「まだみんなと冒険できるみたいで嬉しいよ。」

エルゼン:「そうね。これからよろしくお願いします。」

ベルク:「よろしくお願いするっすよ。」

シア:「よろしくね。」

ドジソン:「よ、よろしく。」

ピア(GM):「じゃあ、さっそく仕事に取り掛かるわよ。」

シア:「えっ、休まないの?」

タービン:「よし、どこに運転したらいいの。」

GM:というわけで、これにて第一話終了です。お疲れ様でした。

PL一同:お疲れ様でしたー。


(これにて本編は終了です。残りはエンディングトークとなります。)



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