Opening07―慌ただしい日々

 日常パート三日目。いよいよ明日が試験となる。一日目以上に悩みつつも行動を決めた冒険者達はそれぞれのやるべきことを取り組むのだった。


GM:ではさっそく、二日目に路銀を稼いでいたシアのロールプレイをやっていこう。

シア:うん、ベルクに話しかけに行くかな。

GM:了解。ベルクさん、貴方は何の勉強をやっているのかな。

ベルク:給仕(ウェイトレス)かな。

GM:となると……食器を要領よく運んだり、オーダーを手際よく厨房に伝えたりする練習をやっていることにしよう。その最中にシアさんが部屋に入ってくる。

シア:抜き足差し足で入っていくよ。大声を出して驚かせたい。

GM:ストップ。それに気がつくか、ベルクさんの危険感知判定を行おう。

シア:危険感知判定……!

GM:いや、その前にシアさんの隠密判定かな。まぁどっちも平目だけど。


【判定結果】

ベルクが出目9、シアが出目8。

両者平目のため、ベルクの危険感知判定が成功となる。


GM:ベルクさんはどのような対応をとってもいいよ。知ってるけど知らないフリをしてもいいし、即座に振り向いてもいい。

ベルク:「今お皿を運んでいるので、もう少し待ってくださいね。」と声を掛けます。

シア:「バレちゃったか。」

ベルク:「足音は聞こえなかったっすけどね。」

シア:「ちょっとベルクに用があるんだけど。」

ベルク:「じゃあ、お皿を置いてくるっすね。練習中なんっすよ。」

シア:「待ってるね。」

ベルク:急いでお皿を置いて戻ってくる。


GM:戻ってきて、改めて二人で話そう。何を話すのかな。

ベルク:「シアさん、私に何の用っすか。」

シア:「自己紹介のときに杖が無くて困ってるって言ってたわよね。お金が無くて新しいのを買えないとか。ドルイドって、杖が必要なんでしょう?」

ベルク:「そうっすけど……」

シア:「同じ冒険者の仲間として、何かしてあげられないかなと思って。私の勝手なんだけど、お金を稼いできちゃった。貰ってくれない?」

ベルク:「稼いできたっすか!?」

シア:「だって、仲間に目の前で死なれたら嫌だもの。これぐらいすぐ稼いできてあげるわ。

ベルク:「嬉しいっすけど、ちょっと一言ほしかったっすね。」

シア:「あー、ごめんごめん。ちゃんと相談するべきだったかな。私、相談するの苦手だから。今度から相談するわ。……たぶん。恐らく。」

ベルク;「恐らく?」

シア:3パーセントぐらい?

ベルク:低いねぇ。

GM:随分と低い。

ベルク:「困ってたのは事実っすから、嬉しいのは嬉しいっすけど……」

シア:「出世払いで。」

ベルク:出世払い(笑)。

GM:問答無用だ。

ベルク:「ま、まさか先に出世払いって言われるとは思ってなかったっす。」

シア:「だってそう言うでしょう?真面目ちゃんだものね。じゃあ、これあげる。」と言ってお金をじゃらり。

GM:現ナマをそのまま渡すのか……

ベルク:てっきり杖買ってきて渡すのかと。

シア:だってどの杖か分からなかったし。

ベルク:「じ、じゃあ……貸してもらうっす。」

シア:「だから、出世払いって言ってるでしょ。」

GM:厚かましいやつだな。

ベルク:「分かったっす。明日は試験なので、試験が落ち着いた頃合いに買ってくるっすよ。」

シア:「分かった。」ぐいぐいと400ガメルを渡します。

ベルク:押し付けるの間違いでは。とりあえずいつもお金を入れる袋とは別の袋を用意していれておこう。


ベルク:「そ、そういえば、シアさんはこの三日間は何の勉強をしたっすか?さっきお金を稼いできたとか言ってたっすけど。」

シア:「勉強?してないわ。」

エルゼン:(笑)

GM:本当にしてないんだよなあ。

ベルク:「えっ。」

シア:それがなにか、みたいな顔で見ます。

ベルク:「ちょっと明日が不安になったっすね……」

GM:これはどう評価するんだろう。ちょっと助けを求めていい?感想をタービンさんで。

タービン:どういうキャラなのかは大体分かったけど……

GM:言いたいことは分かる。

ベルク:スーパーお金にルーズ。

タービン:確かにお金にルーズすぎるよね。メインアルケミストなのに大丈夫なんだろうか。というか、なんで120ガメル稼いでなんで400ガメル渡すの(笑)。

GM:さぁ?

シア:お金がそこにあったから、かな。


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※メインアルケミスト

 アルケミスト技能をメインに成長させていくキャラクターのこと。

 アルケミスト技能を成長させることで、1レベル毎に賦術という魔法とは異なる独自の特殊能力を取得することができる。しかし、賦術はMP(マナポイント)を使用するのではなく、有料のマテリアルカードというものを消費しなくてはならない。少しだけ使うだけなら懐も痛くないのだが、賦術に重きを置いていると大抵の場合は資金難に苦しめられてしまう。そのようなことから、メインアルケミストは修羅の道と呼ばれがちなのだ。

 ちなみに、ランクが二番目に低いAランクのマテリアルカードを1枚使うだけで、2週間分の食費が吹き飛ぶらしい。

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【GMからの評価】

・ベルクからシアに対して"声援"を送る権利を1回分獲得。

・シアからベルクに対して"声援"を送る権利を1回分獲得。


GM:お互いにどんな人なのかは良い意味でも悪い意味でも理解できたよね。

タービン:た、たしかに。

ベルク:私の給仕(ウェイトレス)技能は……?

GM:シアのせいで気が散って上手く行かなかった。

ベルク:なんてことだ。しゃ、しゃあねえなぁ。

ドジソン:かわいそう(笑)。


GM:気を取り直してドジソンさん。貴方は何の勉強をしていますか。

ドジソン:はーい。ドジソンは料理人(コック)の勉強をしてます。

GM:ほうほう。

ドジソン:ですが、上手くいかないので煙の中から咳込みながら出てきます。

GM:まてまてまて!おかしいだろ、色々と。

ドジソン:上手くいかないなあ(笑)。

GM:さすがに助けを呼ぼう。ダイス振って決めるね。

ドジソン:どうぞ。


(ダイスロールの結果、急遽テオドールが居合わせたことに。)


GM:都合がよくテオドールさんがいたことになった。

テオドール:いたことにされた。

GM:貴方のイベントとは関係ないのでご心配なく。助っ人登場だから。

テオドール:まあ、うん。

GM:調理場に謎の煙が立ち込めていることに貴方は気が付く。

テオドール:「火事か!?」と駆け寄っていくよ。

GM:ドジソンさん、どんな状態なんですか。

ドジソン:「う、上手くいかないなあ。で、でも、昨日料理してたテオドールさん絶対に目が笑ってなかったからなあ。」と煙の中で咳込んでる。

GM:後付けが酷い。

ドジソン:「あ、あれはやっぱり自分でやれっていう目だった。テオドールさん、あまり喋らないから怖いんだよな。」

GM:じゃあ、怖い目をしたテオドールさんが来ます。

テオドール:「なんだ。火事でも起きたのか。」

ドジソン:「い、いや。ちょっと料理してただけだよ。」

テオドール:「これがか?」惨状を指差して。

PL一同:(笑)

ドジソン:「ご、ごめんなさい!」土下座気味に。

GM:どんな状態になってるの。描写を詳しく。

ドジソン:肉とか焼こうとして、換気してないからもっくもく。

テオドール:「土下座をする前に換気をしろ。このまま煙を吸い続けたら、最悪死にかねんのでな。」

ドジソン:「ご、ごめん。今開けてくるよ。」そこにランプは置いていくね。

GM:さりげなく置き去りにするんじゃない。

イソップ(GM):「う、うお!?煙が中に入ってくる!」

テオドール:肉の様子を確認します。

GM:ダイスロールで決めるか。……もはや肉かどうか怪しいかな。謎の物体X。いや、謎の液体X。

ドジソン:て、テオさんに殺される!

テオドール:「何をどうしたらこんな火力が出るんだ。」

ドジソン:「ティンダーとファイアボルトを撃ってみたんだけど……駄目だったかな。」

テオドール:「お前がどのような環境で育ってきたのかは分からないが、料理に妖精魔法は使うな。」

ドジソン:「ご、ごめんなさい!殺さないで!」

GM:えぇ……?

テオドール:「正しいやり方を知らないままでやろうとしても仕方がないだろう。」

ドジソン:「なるほど。」

テオドール:「お前は説明も聞かずに列車を動かす気だったのか。」

GM:真面目か?

ドジソン:「か、返す言葉もないよ。」

テオドール:「料理も同じだ。まず、レシピ本を持ってこい。」

ドジソン:「と、取ってくるね。」どたどたと走っていく。

テオドール:至極真っ当なことを言ってるんだけどな。


GM:というわけで、レシピ本を取ってきた。

ドジソン:「取ってきたよ。」

テオドール:「取ってきて終わりか。」

ドジソン:「よ、読みます!」

PL一同:(笑)

ドジソン:「わ、分かったよテオさん。今日は本を読んで、そこから勉強するよ。」

テオドール:「読むだけじゃ駄目だ。きちんとメモを取るんだ。お前のようなタイプは読むだけ読んで理解した気になるからな。」

ドジソン:「う、うん。」

テオドール:「メモと書くものは持っているか。」

ドジソン:「あります!あっ、ランプ!」とランプを押さえます。

イソップ(GM):「だから煙を何とかしてくれって!」

テオドール:「あと、料理だけでなく列車を動かす際もそうなのだが、何でも魔法で解決しようという甘い考えは捨てておけ。」

ドジソン:「わ、わかったよ。ごめんね、テオさん。今から出掛けるところだったのに。」

テオドール:「構わん。それに、これだけ煙が出ていれば、俺でなくても誰かが勘づいてもおかしくない。」

GM:そりゃそうだ。

テオドール:「来たのが俺でよかったな。もし、列車を管理しているピアが来ていたら、なにかしらの責任を取らされてもおかしくはなかった。」

ドジソン:「そ、そうだね。テオさんでよかった。いや、よかったのかな。うん、そういうことにします。」

テオドール:「そう思うのなら少しは反省をして、次は原型を留めるぐらいに焼けるようになるんだな。」

ドジソン:「つ、次は頑張るよ。」

テオドール:帰ります。

GM:残されたドジソンはどうしますか。

ドジソン:一日中本を読んで勉強します。

GM:あっ、はい。


【GMからの評価】

・テオドールからドジソンに対して"声援"を送る権利を1回分獲得。


ドジソン:いや、テオさんのキャラ良すぎる。

GM:すごくかっこいいっす。

テオドール:年長者だから。

ベルク:(笑)

シア:すげえってなったよね。頼れるリーダー。

GM:ドジソンさん、貴方が今回得られる技能はない。壊滅的な料理を作ったからね。

ドジソン:それはそう。

GM:ちゃんと本を読んだことによって、壊滅的な料理の腕が辛うじて一般的に近づいたぐらい。マイナスがゼロになった。

ドジソン:そして、声援。

GM:テオドールさんがドジソンさんに対して、喝をおくる形で声援を送ることができる。

ドジソン:(笑)

GM:だって今のロールプレイそんな感じじゃない!?違う?

シア:そうだよ。

テオドール:否定はしない。

ドジソン:悪い人じゃないけど、厳しい人だなってドジソンは思ってるよ。

GM:でも、頭上がらないでしょ。貴方。

ドジソン:上がらない。

GM:だから、君から声援は送れないよ。異論がある者は。

PL一同:ないです。


(次回は三日目ラスト。いよいよオープニング最終話となります。)



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