Opening04―日常に居られなくなった者

 日常パート一日目はドジソンがエルゼンを指名したことにより、二人のシーンから始まる。


GM:エルゼンさんは魔動列車の無機質な外観を見栄えが良いように装飾を施しています。そんなところに、ドジソンさんが声を掛けてくる形になります。

エルゼン:可愛らしい動物のデザインのシールをペタペタと貼り付けてますね。

ドジソン:「エルゼンさん……だっけ?」

エルゼン:「えっと、そういう貴方はサルドール(ドジソン)さんでしたっけ。」

ドジソン:「僕のことなんてそんな覚えなくてもいいけど。」

エルゼン:「いえいえ、これから旅をする方なんですから、そういうわけにはいきませんよ。」

ドジソン:「そ、そうかい。そう言ってくれるとありがたいよ。」


ドジソン:「でも、すごいねエルゼン。これ君が作ったの?」周りを見回しながら。

エルゼン:「ええ。家では両親の手伝いをしていたので。」

ドジソン:「凄いな……君はそんなこともできるのか。」

エルゼン:「といっても、列車のことはさっぱりですけどね。」

ドジソン:感心しながら見てます。

エルゼン:「ええっと、見られるとやりにくいのですが。」

ドジソン:「ご、ごめん。じゃあ後ろ向いてるよ。」

PL一同:いやいや、着替えシーンじゃないんだから(笑)。

エルゼン:「さ、サルドールさん?」

ドジソン:「えっ、なに?」後ろを向いたままで。

エルゼン:「あの、一度手を止めて一緒にお茶でもしましょうか。」

ドジソン:「そ、そうかい。じゃあ僕が汲んでくるよ。」

エルゼン:汲んでくる?

ドジソン:ヒールウォーター。

ドジソン:「じゃなかった。僕が淹れてくるよ。」

エルゼン:「あ、はい。お願いします。」


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※ヒールウォーター

 光属性の妖精魔法の一つ。治癒の効果を持つ水を手のひらか容器の中に作製する魔法。

 飲むのに手番を使ってしまうが、MP効率がよく非戦闘時なら優秀な回復手段となる。とはいえ、味のことは一切言及されていないため、お茶を淹れるための飲料水として使用するのは如何なものか。

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GM:じゃあ、はい。汲んできました(苦笑)。場所も別のところに移しましょう。

ドジソン:「えっと、さっきの面接の話だと……エルゼンさんは悪い人に勘違いされたんだっけ。」

エルゼン:「ええ。そうなりますね。」

ドジソン:「自分の罪じゃないのに、悪い事してないのに。」

エルゼン:「はい。私はそういったことをする気も全くありませんので。」

ドジソン:「ぼ、僕もさ。別に悪い事をしたわけじゃないんだけど。家に居られなくなっちゃったんだよね。」

エルゼン:「そうなんですね。」

ドジソン:「だから君の気持ちも分かるかなって。」

エルゼン:「ですが、私はきちんと無実を証明すれば解放してもらえるという話ですから。それまでは仮釈放という形になっていますね。」

ドジソン:「無実……そっか、頑張ってね。」

エルゼン:「ええ。ありがとうございます。」

ドジソン:「僕の方はそうはいかないかもしれないけど。」

エルゼン:「えっ、そうなんですか。言いにくいのでしたら、何も聞きませんが。」

ドジソン:「あっ、その。」ランプを押さえます。

エルゼン:首を傾げる。

ドジソン:「お、驚かないでね。」と言いながらランプを開けて扉の小魔を見せます。

エルゼン:「えっ、これって……いわゆる魔神ですよね。」カミングアウト早くない?

GM:この魔神って喋れるの。

テオドール:誰かアテレコしたほうがいい?

エルゼン:(笑)

ドジソン:GMにお願いします。

GM:お願いしますってなに!?

ベルク:お願いしますじゃないんだよなあ。

GM:魔神の名前は。

ドジソン:イソップです。

GM:見た目ってどんな感じなの。

ドジソン:それが……前のキャラクターのイメージが強くて思い浮かばなくて。

エルゼン:(筋骨隆々の悪魔のイメージを提出する)

テオドール:禍々しいな!?

ドジソン:いや、それレベル7か8ぐらいのイソップだよね!?


(紆余曲折があり、何とかイソップのイメージが出来上がる。)


イソップ(GM):「あのさぁ。いくら面接だからってずっとランプに入れっぱなしはどうかと思うぜ。」

ドジソン:「ご、ごめん。君を見せたら落ちちゃうかなって思ってさ。」

イソップ(GM):「で、ちゃんと通ったのかよ。」

ドジソン:「と、通ったよ。まだ君のことは紹介してないんだけど。」

イソップ(GM):「オイオイ、ちゃんと紹介しろよー。」

ドジソン:「だ、だから、今目の前に。」エルゼンのほうに目を向ける。

イソップ(GM):「あー、なに、そういう感じ?初恋?お見合い中?」

ドジソン:「ち、違うよ。そんな感じじゃなくて。装飾が上手くて……」

イソップ(GM):「相変わらず説明が下手くそだなぁ。そこの、何があったのか話してくれよ。」

エルゼン:「サルドールさんが家に居られなくなった理由を見てほしいと言われたのです。そうしたら貴方が出てきた、という状況ですね。」

イソップ(GM):「あー、さっき俺に向かって言ってた魔神ってのはその通りだ。魔神だよ魔神。」

エルゼン:「ええっと……そうなんですね。」

イソップ(GM):「じゃあお前を喰ってやろうか。」

ドジソン:「や、やめてって。」

エルゼン:「嗚呼、私は犯罪者にされてここで魔神に殺されてしまうのですね。私の人生、短かったなぁ。」

ドジソン:「イソップ、戻れ!」と言いながら戻します。

イソップ(GM):「暑苦しいからやめろって!」

エルゼン:色々と酷い。

ドジソン:「そういうわけで、僕は彼と契約してるんだけど。それが、家族にバレちゃって。」

エルゼン:「そうですね。さすがに魔神はまずいと思いますよ。」

ドジソン:「そ、そうだね。でも、冒険者の中には魔神使いがいるって聞いたから。ここならぼ、ぼくも、受け入れてもらえるかなって。」

エルゼン:「確かに聞いたことはありますね。ですが、ここまで親しいとは思いませんでした。」

ドジソン:「そ、そうなのかい。僕とイソップは長い仲だから……」

エルゼン:「魔神使いは魔神を制御するものだと本で読んだことがあります。」

ドジソン:「制御……?イソップを、友達を制御するのかい?」

エルゼン:「ええ。ですから、貴方のように仲が良かったりするなんて初めて知りましたよ。」


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※世間での召異術師(魔神使い)の扱い

 物語の舞台であるアルフレイム大陸は常に魔神の驚異に晒されており、一般人にとって魔神とは恐怖の対象となっている。そんな中であえて召異魔法を学ぶことで、魔神の力で魔神を討滅することを目的とするのが冒険者となる召異術師となる。

 しかし、いくら魔神と戦うためとはいっても、一般人のみならず冒険者からも忌避感が強い召異術師は、世間から厳しい偏見の目に晒されている。ソードワールド2.0の舞台であるテラスティア大陸でも、召異魔法は禁忌とされていた。

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ドジソン:「うーん。別に僕にとって魔神も妖精も変わらないと思うんだ。」と言って妖精を呼び出します。

エルゼン:「そ、そうなんですか。」

ドジソン:「ほら、どっちも悪戯好きなだけだろう?」

エルゼン:「ですが……」

GM:突然で申し訳ないけど、ここでピアが入ってくるよ。

ベルク:なんてことだ。

ドジソン:「えっ、ピアさん!?」

ピア(GM):「なに、急に大声を出して。」

ドジソン:「い、今何か見ましたか。」

ピア(GM):「別に何も。というより、青春やってるのね。」

ドジソン:「青春?」

ピア(GM):「ごめんなさいね、空気読めなくて。」

ドジソン:「ち、違いますよ。ほ、ほら。エルゼンさんも仕事に戻ったほうが。」

エルゼン:「そうですね。お茶、ありがとうございました。」と言ってまた列車のほうに向かいます。

GM:じゃあ、一旦場面を区切ろうか。


(唐突にダイス音が聞こえる。)


GM:ベルクさん、感想をお願いします。

ベルク:か、感想……!?キラーパスが飛んできたぞ!?

タービン:キラーパスだなぁ、これ。

テオドール:あれだな。学校で集会の後にいきなり感想文書いてくださいって言われるやつだ。

エルゼン:急に言われるやつな。

GM:まあ、思ったことを率直に答えていただいて結構です。

ベルク:いやー。目のハイライトが消えていくんじゃ。

GM:それが感想ですか。

ベルク:いや、違う違う。えっと、過去の話とかそれぞれの経歴について語れてて良かったかな。

GM:そんな感じでいいよ。参考にしとくだけだから。

エルゼン:でも、ドジソンのカミングアウトに対してちょっと引き気味。


【GMからの評価】

・エルゼンからドジソンに対して"声援"を送る権利を1回分獲得。

・エルゼンの「彫刻家(スカルプター)Lv3」が1レベルアップ。


GM:こんな感じかな。ロールプレイの内容によっては、ボーナスを設けたりするから頑張ってね。というわけで、次の方も進めてみよう。


(次回は一日目の残りメンバーの日常パートとなります。)





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