【2011年 実写化映画】自然の美しさやこわさを描く「岳-ガク-」。

『郷倉』


 はい、倉木さんの2011年の映画について、お願い致します。


『倉木』 2011年、映画。

 

 モテキからの流れで語る映画として、長澤まさみがヒロインの映画を話しましょうかね。

 岳-ガク-です。


 世界の名峰を制覇した後、日本へ戻り山岳救助ボランティアとして活動していた島崎三歩のもとに、椎名久美が北部警察署山岳遭難救助隊の新人としてやって来る。三歩の指導を受けて訓練をこなしていた久美だが、実際の現場で遭難者を救うことが出来ずに自信を失っていた。そんなある日、猛吹雪の雪山で多重遭難が発生する。久美は仲間と共に現場へ向かうが、そこには想像を絶する雪山の脅威が待ち受けていた。


 Wikipediaのあらすじ。


 キャッチコピーは「生きる。」「標高3,190m 気温-25℃ 命は、命でしか救えない。」


 GANTZやスマグラーに匹敵するほどの地獄を描きながら、同時に美しくもある作品。


 こういう感想をもつのは、この作品が人間のちっぽけさを描いたものだからかな、と考えました。


 そもそも、岳は、無茶苦茶映像化に向いた作品です。雪山で人を撮影した画面から、カメラをズームアウトさせて空から見下ろす画角を撮るだけで、山の綺麗さと危険さ、そして人間のちっぽけさを同時に描ける。


 そういう世界において、長澤まさみが演じる久美は、視聴者に一番近い感覚を持っている存在です。雪山を舐めてかかって遭難する登山客に対して怒り、自分の正義感と実際に人を助けるスキルが比例していなくて苦悩する。こういう性格のためか、自分とは逆に人を助けるスキルを持ちながら、山を舐めた登山客に対するスタンスが全くちがう主人公の小栗旬演じる三歩に反発するところもあったりして。


 まぁ、最終的には長澤まさみは、小栗旬の考え方も理解し、小栗旬からも一人前と認められるほどに成長するのですが、その成長段階での事件で、まぁ、遭難者の死亡率が高いこと。GANTZとかは、死ぬやろうなって思いながら視聴するけど、でも、これはいうてもそんなに死なんやろうって甘くみてたら、そんなことはない。視聴者である僕もどうやら、雪山という自然を舐めていたようです。


 本作は、綺麗な映像に騙されて観ていたら、その裏にはとんでもないものがあるよ、っていうある種の驚きがある話。

 だからこそ、ストーリーラインはベタな感じで邪魔にならんようにしたのかも。映像や自然と人間の関係性を描くために、強烈なストーリーは必要なかったのかな、と思わないでもない。


 この作品をノベライズするならば、ものすごい描写に長けた執筆が必要となる。逆にいえば、本作の映像美を日本語で表現できたならば、ベタなストーリーが名作に昇華するのではないか。執筆の力を上げるために模写ばかりしている人が、気分転換に本作のワンシーンを描写してみたら筆力があがるかも。そういった点からも視聴してほしい一本です。


 あと、冒頭での遭難者が終盤にも登場した際、主人公の三歩の反応が小粋でした。

 考えすぎかもしれないけれど、山に帰ってきた者への反応であると同時に、岳という映画を二回以上視聴した人に向けたものかもしれない。

 だとしたら、かなり粋だなぁ。


 そろそろ、岳に関してまとめます。


 本作の評価すべきポイントは、風景や自然といった部分です。

 もともと僕は、動物の生態と、それに伴った自然環境を撮影したドキュメンタリー映画が大好きなので、こういった部分が刺さっただけなのかもしれません。


 そして重要なのは、自然の美しさやこわさを描ききるためには、シナリオが足を引っ張ってはならないという点。

 本作は、足を引っ張ることのない王道ストーリーのおかげで、自然のすごさが引き立っています。なかなか素晴らしいあんばいです。

 これが、もっと薄いシナリオだと、日本有数の高山が雪の化粧したところで、近所の空き地で雪山風のロケしただけに見えたのではないでしょうか。

 逆に、これ以上、シナリオが濃密だった場合も都合が悪いかも。

 キャッチコピーの生きるや標高なんとか命は、命でしか救えない。ってのから、ずれた作品が完成していたかもしれない。


 面白いシナリオだけを求めるよりも、今回なら「自然」「雪山」を際立たせるために、シナリオを考える必要があるのでは、と気づかせてくれた名作です。

 バランスが大事ってことかね。


 ハリウッドの予算がバカみたいにあるアクション映画で、岳の舞台の山よりも過酷なところで撮影してる作品もあったけど、あれはアクションシーンに魅了されて、雪山の美しさとかこわさをそんなに感じんかったかなぁ。


 前年のシーサイドモーテルも、岳も、舞台となるモーテルや雪山が、演じる役者はいないけれど、確かな存在感があり、もうひとつの主人公として成り立ってる作品は魅力的だと思います。


 下手に邦画が苦手とするCGに手を出さず、妥協しなかった結果があるようにも感じたよ。


『郷倉』


 年の瀬に失礼いたします。

 もう、31日ですね。

 返事遅れて、本当に申し訳ないです。

 エッセイや日記を書いたり、あれこれで時間が食われまくりました。

 今日からようやく小説に着手できそうです。


『岳 -ガク-』と言えば、石塚真一!


 石塚真一と言えば「BLUE GIANT」って思ってしまうくらい、

 僕は「BLUE GIANT」が大好きなんですけど、『岳 -ガク-』の漫画や映画は見ていないので、ちんぷんかんぷんな話をするかも知れませんが、「BLUE GIANT」はジャズの話なんですよね。


 そして、『岳 -ガク-』は山の話、ジャズ(つまり、音楽)と山は決して相容れないようにも見えますが、楽器を扱うことと山登りすることの、関わり合い方は似ているのかも知れない、と思ったりしました。

 が、それはまた別の機会にします。


『岳 -ガク-』のみに関してで言うと、やはり見ていないので、それに関するコメントをするのは難しいなと思いつつ、「雪山の美しさ」を正確に伝えている名作である、ということは倉木さんの文章で分かったので、見てみたいと思います。


 山という場が、舞台が、もうひとつの主人公になっている作品というのも、良いですね。

 ちなみに、舞台になっている場所は日本で良いんですかね?

 猛吹雪になる山も実際に日本にあって、実際に『岳 -ガク-』のような状況に陥る可能性はあるんでしょうか?


『倉木』


 日本の長野だったかな?

 原作もそうやったで。長野には、みんなでスキー行ったなぁ。懐かしい。


 実際に、岳のような状況は現実で起きる。そういう現実と地続きなのは、面白いと感じる一つの要因となるからなぁ。


『郷倉』


 長野なんですね。

 確かに実際に映画のような状況になるかも知れない、と思いながら見れる、というのは一つの生々しさですね。


 倉木さんが最初にGANTZやスマグラーほどの地獄と同時に美しさもあると書かれていますが、そういう意味では映画だけれど、現実にこんなに美しい光景(迫力)を見ている人間がいるんだ、という証明にもなっている、ということですね。


 GANTZやスマグラーに比べると、そういう点で現実と接続されているような印象があって、とても気になる一作です。

 必ず見ます。

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