人生を狂わす実写化映画の地図 2010-2020

郷倉四季

【郷倉四季 序文】漫画の実写化映画を通してテン年代を語りたい。

 今回の連載は、僕(郷倉四季)と倉木さとしで漫画の実写映画について語っていきます。


 予定としては、2021年の4月から来年の2月までの連載になるはずです。ただ、3月まで続ければ丸々1年になるので、2021年の漫画の実写映画に関する対談も付け加えるかも知れません。

 もしくは、僕か倉木さんが突然、恐ろしいほど忙しくなって対談ができず一ヶ月まったく音沙汰がない、という可能性もあります。

 1年という時間は短いようで、人生のあらゆることが起こるに十分な時間でもあるので、その際はご容赦いただければ幸いです。


 ちなみに、今回の発端となった提案は「木曜日の往復書簡集」の頃にあったので、1年と言わずとも半年以上前に倉木さんからありました。

 漫画の実写映画を紹介する連載をしたい。

 僕も倉木さんも同じ小説に関する学校に通っていて、その時から一緒にあらゆる映画を見てきました。

 小説の物語を考える上で映画から学べることは多いのではないか、と言うのが倉木さんの考えであり、僕自身もそれに同意しました。


 また、倉木さんはレンタルビデオやの店員をされていた時期もあり、任侠映画や特撮といった日本映画のコアな部分に詳しい方でもありました。

 そんな倉木さんから「漫画の実写映画について語りたい」という提案は少々意外でした。当時、倉木さんがおっしゃっていたのは、「手に取りやすく」「想像しやすい」テーマだから、とのことでした(あくまで僕の記憶の中では)。


 僕自身も漫画の実写映画は結構見ていたのですが、改めてテーマとして据えるのならと調べてみました。


 2020年に漫画が原作の実写映画の数は20作で、更に前年の2019年には47作が上映された、とウィキペディアには記載されていました。

 ちなみに最近知ったのですが、ウィキペディアの執筆の基準って「真実であるかどうか」ではなく「検証可能かどうか」らしいですね。


 つまり、『信頼できるソース(情報源)を参照することにより「検証できる」内容だけ』をウィキペディアは提供している、とのこと。

 2020年の漫画の実写映画作品は20作で、2019年が47作。

 これは、あくまで検証可能な数字ということですね。


 個人的には「真実」であるより、「検証可能」な情報の方が信用できます。

 というのは、置いておいて2020年はコロナがあって映画館が一時的に新作を公開出来なかったにも関わらず20作が上映され、昨年の2019年は47作。

 この数字を見るだけでも、漫画の実写映画はポピュラーなコンテンツ(?)になっていることは伺えます。


 今回、倉木さんと対談するにあたって、同じ学校に通った友人に電話で「漫画の実写映画のベストを教えてほしい」と尋ねてみました。

「俺は、漫画の実写映画はご法度だと思っているんだよね」

 とのこと。

 なんとなく、言わんとすることは分かります。


 僕はAcid Black Cherryというヴィジュアル系バンド(正確にはソロプロジェクト)が好きで、ボーカルのyasuが2010年頃にニコニコ動画で配信をしていたのを見かけたことがあります。

 そこでyasuが「漫画原作の実写映画の成功した作品ってあったっけ?」と言っていて、スタッフが「NANA」はどうかと尋ねていました。


「NANAね! けど、音楽業界にいる身としては、ツッコミを入れたい部分のある作品だったんだよね」

 と結局は、漫画の実写映画の成功作品はこれだ、という結論は出ずに配信は終わっていました。


 yasuの好みは当然あると思いますし、僕が電話した友人の「ご法度」という気持ちも尊重されるべきだと思います。

 ただ、2010年頃までは、漫画の実写映画は成功しないコンテンツという印象を持つ人が多かったように思います。

 例として「NANA」が上がってくる訳ですし。


 しかし、2020年現在からすると有名漫画はほとんど実写化されて、ある程度の興行収入が見込め、映画業界を支えるほどのコンテンツとして認識されるようになりました。

 この十年には何があったのでしょうか?


 僕の疑問はそこにありました。

 あくまで僕が、そうしたいと言う話でしかありませんが、漫画の実写映画を振り返ることでテン年代を一度、総ざらいしてみたいな、と考えています。


 とはいえ、対談はあくまで僕と倉木さんが好きな映画について語るものです。せっかくなら、語った映画を見てもらいたいとも思っています。

 単純に言えば、それだけの意気込みです。


 ただ、縦横無尽に好き放題に語ってしまっては、収集がつかなくなるので、2010年から2020年までの期間を一年ずつ扱って行きたいと考えています。


 ちなみに、僕こと郷倉四季は開始の2010年の年は十九歳でまだお酒も飲めない学生でした。現在は三十歳。

 随分、遠いところまで来ました。

 そんな気持ちです。


 色んなことがあったなぁと思いを馳せつつ、一緒にこの十年を数ヶ月通して振り返って行ければ幸いです。

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