青春死体! 続くの!?


 吸血鬼が立ち上がる。


「時代はアイドル!」

「なんだ藪から棒に」

「お前それ決め台詞なの?」

「ああん?」


 魔女と吸血鬼は相変わらずバチバチ。

 キャッキャウフフも望めそうにないね。


「歌って踊れるアイドル♪」

「ゾンビを仲間外れにすんなってハレ晴レ〇カイの時に学んだでしょうが」

「ゾンビも踊れる時代です! ゾンビランド佐賀!」

「佐賀でバイオハザードを起こすな」

「ありがとうございますサイゲ様!」


 媚びていくスタイル。


「歌って踊ろうぜぇ、ヘドバンしようぜぇ」

「なんでヘドバン?」

「さっきからゾン佐賀ネタだよ」

「アニメの話か!?」


 やっと気づく魔女。遅いぞ。

 そこでルシフェルが口を開く。


「では私がプロデューサーという事で」

「「「「ええー」」」」

 

 四人全員が不満を漏らした。


「これでも天界では敏腕プロデューサーとして活躍していました」

「嘘だぁ」

「ホントです。ベリアルとか私のプロデュースです」

「嘘吐くな」


 こうしてルシフェルのレッスンが始まった。


「はい、ワンツーワンツー」

「くっ! 意外とキツイ上にまともだ!」

「驚く順序、逆じゃない?」

「はい! そこでキメ!」


 ピシィ! 全員が決めポーズ。(ゾンビはセンター棒立ち)


「ブラボー!」

「こんなナレーションベースでいいのか……?」

「次は歌です」

「あっはい」


 全員が歌う。

 魔女、無難。

 尸解仙、ややウマ。

 吸血鬼、上手い。

 ゾンビ、うーあー!


「ゾンビィ!」

「落ち着け敏腕プロデューサー!」

「なるなるどうにかなる」


 という訳で最初の曲は。


『うーあー!』


 うーあー!

 ありったけの夢を――


「おいカメラ止めろ」

「カメラを止めるな!」

「カメラなんて回してませんよ」


 はいはい、仕切り直し仕切り直し。

 魔女が立ち上がる。


「こうなったら私の魔法の出番ね! まずは皆の恰好をどうにかしなきゃ!」


 不老不死老人ホームの全員は常時クソダサジャージである。萌え衣装とか期待しないでいただきたい。


「ピピルピピルピピ〇ピー」

「なんでオリジナル呪文じゃないんだ、規制音まみれみたいじゃないか、つーか撲殺されそう」

「テクマクマヤコンのが良かったかしら」

「なんでそっちは伏せねーんだよ」


 そんなこんなで魔女の魔法発動マジックカードオープン

 全員が光に包まれていく!


「おい、なんだ今のルビ」

「そんな事よりなんだこの感覚!?」

「うーあー!」


 なんかそれっぽいBGMと共に、全員がオーラを身に纏う。

 フリフリの衣装、完璧なメイク、髪型も変わって。


「愛の魔女! ピュアウィッチ!」

「正義の吸血鬼! ピュアヴァンパイア!」

「うーあー! ピュアゾンビ!」

「友情の仙人! ピュアキョンシー!」

「「「「四人はプリピュア!」」」」


 ぱちぱちぱちとルシフェルの拍手が起こる。

 ちなみにルシフェルはなんか黒ローブ姿になっている。悪そうな感じをご想像下さい。

 え? 描写しろって? 無茶を仰る……閑話休題。


「どこが閑話だ、本題だろ! ていうか尸解仙とキョンシーはちがーう!!」

「え、そうなの?」

「そうなの? じゃねーよ!」

「そもそもなんで最初からキョンシーにしなかったのか」

「ゾンビと被るからだろうが! チャイナ要素しか区別つかないからだろうが! 誰がお前らの戸籍を握ってると思ってるんだ!」


 フリフリ衣装の四人は悪役姿のルシフェルを前に。


「おい、無視して進めようとすんな」

「くっ戦うしかないのね!?」

「え、そういう流れなんですかこれ?」

「やるぞウィッチ! オーラパワーだ!」


 力を集束させる四人。


「ウルトラー」

「ミラクルー」

「ピュアー」

「うーあー!」


 放たれる光の奔流、ルシフェルを包み込んでいく。特に抵抗しないルシフェル。


「ああ、天界に居た頃を思い出す――」


 浄化されて天に召されたルシフェルは神によって即、堕天させられ、魔女により再召喚された。


「はっ! 忌々しい神に叛逆を!」

「目覚めろ、現実だ」

「フィクションでは?」

「お前もこっち側か?」


 ええい、メタ視点を増やすな扱い辛い。

 そういうのはデッド〇ール一人で充分だよ。


「どーすんだこのプリ〇ュアもどき……」

「プリピュアな」

「知らねーよ」


 オチはどこだ……。

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