第2話 檻に入れられた



 当然知ってはいけない秘密を知ってしまった私は、魔王城に運ばれて檻の中に閉じ込められました。


 私は、かれこれ数時間、監禁されている。


 いつまで捕まっていなければいけないのだろう。


 家にいる家族が心配してしまう。

 だから、何とかここから出してもらわなければならないのだけど。


 さて、どうやって説得したものだろうか。


 目の前のラスボスに向かって口を開いた。


「えっと、貴方の秘密、誰にも言いませんよ?」

「言うつもりがなくても、口からぽろっと吐きそうだ。見た所、お前は頭がよくなさそうだからな」


 失礼な。


 まあ、大丈夫だろうと思って尾行したあげく、ラスボスの秘密をうっかり見てしまって、こんな檻に閉じ込められているのだから、頭が良い方ではないのかもしれないけれど、それを面と向かって人に言うのはどうかと、そもそも礼儀として、うんぬんかんぬん。


 なんて事を考えていたら、ラスボスに呆れられた。


「よく知りもしない男を前に、深々と考え事ができるな」


 つい。


 しかし、色々な方法を考えてみたけれど、あまり良い方法が思い浮かばなかった。


 どうしよう。


「答えろ。なぜ、俺の後をつけていた」

「恰好よかったからです」

「は?」


 うーん。


 ここに誰か相談できる頭の人がいたらいいんだけど。


 なんとか謝って、許してもらえないだろうか。


「お前は、何を、言っている」

「とてもイケメンで、顔が好みだったのでつけました。ファンです。以上」


 乙女ゲームをやっていた時から恰好良いと思っていたので、嘘ではない。


「お前、ふざけているのか」


 ん? 普通にに返事してたけど、なんかラスボスが微妙に怒気を放っているような?


 知らない間に何か変な事でも言ってしまったのだろうか。


 他に考え事していると、私の口、意外とうっかりさんだから。


「もういい。少しそこで頭を冷やしていろ。己の状況が分かれば、少しは態度も改めるだろう」


 首をかしげていると、ラスボスさんがどこかに行ってしまった。


 早く帰りたかったけど、考え事をするなら一人にしてくれた方が良い。


 私はひらひらと手をふった。


「できるだけ早く帰ってきてくださいね」

「お前のセリフじゃないだろ」


 おっと、寡黙キャラで有名なラスボスから、ツッコミをもらってしまった。


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