打算的発酵食品
https://kakuyomu.jp/works/16816452219594312528/episodes/16816927861616295431
↑と同一人物達。見なくて平気。
はらはらと、彼女ちゃんの目から涙が落ちる。
「仕事帰りのお買い物を忘れて、コレしか冷蔵庫に蓄えがありませんでした……」
テーブルの上には、この前彼女ちゃんがいそいそと仕込んでいたザワークラウトのビン。ザワークラウトとは、キャベツと塩を漬け込んだ発酵食品だ。お皿を出して、ひと口試食してみる。うん、おいしい。
殺風景なテーブルの上には、たった一つの食品の他に、目薬。この涙が、泣いたら怒られないという打算から来るものだと知った。ので、慰めようと思っていた気持ちは大事に仕舞いこんでおく。
「これだけでシンプルに晩酌でもいい……けど彼女ちゃんのが僕より食が進むからなあ。ご飯はまだ残ってたよね? 焼きおにぎりでも作ろうか、漬物とおにぎりがあれば立派に夕ご飯さ」
「彼氏くんありがと~」
感激で目から零れ落ちるものは、多分演技ではないだろう。だから僕は、今度はどういたしましてと返事をした。
「おにぎりおにぎりおいしいね~♪」
結局手伝って、ラップ越しのご飯を手の中で転がしている彼女ちゃんを可愛いなと思いつつ。買い物忘れるくらい疲れてるなら休んでればいいのに、とも思った。
深夜の真剣物書き120分一本勝負より……①打算 ②落涙 ③ザワークラウト
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