まねっこやすみ

「休むって字は〜」


 小学生くらいの少年が、担任の鈴木先生のまねっこをしながら言う。


「にんべん〜、つまりーい、人、に木を添えるように書くのですね〜はい」

「だけどよ」


 小学生くらいの少年の横に寝そべるクラスメイトらしい少年が言う。彼らの横には倒れて放置された木が一緒に寝そべっている。


「オレら二人じゃん。休むのやす、じゃなくてイイ木って感じで良い木ほめるみたいになってねえ?」

「細かいことは〜言いっこなしでぇ〜す」


 でぇ〜の部分が担任の鈴木先生に本当にそっくりだったので、少年の友人は吹いた。空は夕焼け。


「そろそろ帰ろうぜ〜マネル〜」


 本当の彼の名はまさるというが、まねっこが得意な彼を本名で呼ぶのは親だけである。




 Twitter300字ss第三十五回お題……「休」(本文299文字)

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