上方論語

@kakakeke

一　師匠は言わはった「勉強したことは、たまにおさらいしたら良う身に付いてそら嬉しいで。遠くから友達が遊びに来てくれたらそら楽しいで。誰にも分かってもらえへんかっても、それで拗ねへんのはそら君子やで。」

二　有子が言うた「その人柄が孝行なもんは目上の人に逆らわへんし、目上の人に逆らわへんもんはトラブルも起こさへん。君子は土台がでけてる、土台がでけてるからその上に道も通せる、孝行は仁の土台やで。」

三　師匠は言わはった「トークでけるイケメンは絶対ロクデナシやで。好かんわ。」

四　曾子が言うた「ワシ、毎日何べんも考えるで。人さんの為に何かする時におざなりになってないか？友達と遊ぶ時にも信頼を裏切ってないか？知ったか振りで人さんにものを言うてないか？って。」

五　師匠は言わはった「例え巨大な帝国を率いるにしてもやで、国民の前では何事にも慎重に臨んで信頼を得、親愛の印しに節税に努めて、何かさせるにしても国民の都合も考えたらなアカンで。」

六　師匠は言わはった「オマエらな、家では孝行せなアカンで。他所では間違ってもエラそうにしたらアカンで。慎みが有ってこそ誠実ちゅうもんや。愛情を持って、広く人さんとお付き合いして仁に親しんで、それでもまだエネルギーが残ってたら、それからやっと学問したらエエねん。」

七　子夏が言うた「せめてセクシー女優よりは賢い人を敬愛して、ご両親にも精一杯の孝行をして、真面目に会社勤めもして、友達との間にも嘘が無い奴は、俺から言わせたら、例え学歴が無くても十分学問してる、ゆうことになるで絶対。」

八　師匠は言わはった「君子はな、どっしり構えてはるから威厳がある。良う勉強してはるから柔軟性が有って頑やない。忠実と信用を心掛けて、自分の為にならん奴とは付き合おうたらアカンで。もし間違うてたら、縁を切るのに遠慮は要らんで。」

九　曾子が言うた「上のもんが親御さんや亡くなった方々を偲んで、ご先祖さんを大切にお祀りしてたら、下々の連中かて良う徳を心得る様になるで。」

十　小禽が小貢に尋ねた「師匠は何処の国に行っても、必ず政治的なアドバイスをしてはるけど、自分から進んでしてはるんやろか？それとも求められてしゃーなしにしてはるんやろか？」小貢は「師匠は温厚で良心的で恭しくて、節税対策にも明るいし、地位を譲らはるタイプやさかい、そないなるんやろうな。師匠の政治に対する関わり方は、他の自分から進んで政治に関わりたいって言うタイプの人とは違うみたいやな。」

十一　師匠は言わはった「両親がご健在の時はその人のポリシーを観る。亡くならはったらその人の行いを観る。三年でもご両親の遺志に行いが違わん様やったら、まぁ親孝行やて言えるやろうな。」

十二　有子が言うた「礼の働きとしては調和が尊いのや、古くからの王の道もこれを美徳としたもんや。そら、ことの軽重に関わらず上手いこと調和せえへん場合も有るで。調和を分かってて、調和してるつもりでも、そこに肝心の礼節が欠けてたら、やっぱり上手いこと調和せえへんさかいな。」

十三　有子が言うた「約束は正義に近かったら必ず守れる。恭しく礼儀正しかったら恥をかく訳も無い。どんなに困った時でも、頼る人さえ間違わへんかったら何とかなるもんやで。」

十四　師匠は言わはった「君子はな、グルメなんかに興味は無いし、マイホームの夢なんて持つことも無い。仕事は早く、寡黙やけど、道理に適うた正しい行いをしはる。ホンマの学問好き、ゆうのはそういう人のことやで。」

十五　小貢が「貧乏でもコンプレックスが無うて、金持ちでも威張ることが無い。っちゅうのはどないですか？」て師匠に尋ねた。師匠は答えはった「中々エエよ。せやけど金が無くても道から外れず楽しう暮らして、仰山金持ってても礼儀正しい人には及ばへんけどな。」小貢が言うた「『切磋琢磨』て、そういうことを言うんですか？」師匠は言わはった「子貢や、初めて一緒に詩が言えるな。片方さえ教えたら、もう片方を悟ることがでけるんやさかい。」

十六　師匠は言わはった「自分を分かってもらえんことより、自分が誰かのことを分かってへんのちゃうか？て心配せなアカンで。」