第6話 俺達以外の転生者

2022年7月10日 日本標準時 午後4時17分


宮城県仙台市 国道223号線


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スキー場を出てから15分。


俺達は、石で整備された道路を歩いていた。


アナリス曰くコンクリートでできているらしい。




15分しか歩いていないが、この世界のことをいくつか知れた。


まず、鉄の塊が動いていた。4足歩行というべきなのか、円形の足をしていた。




中には人がいた。ガラスという部分で中の人が中年男性だということが分かった。




あと、俺がこの世界に来て見つけた3人目の人だ。




俺がそれを見たとき、咄嗟に火の魔法を打ちそうだった。アナリスに止められなかったらおそらく魔法を打っていた。それくらい驚いた。




だが、アナリス曰く、あれは車というものらしい。しかもあれ生き物じゃないんだとか。




なんでそういうことを最初に言わないのだろうか。アナリスは知ってたみたいでまったく驚いてなかったが、最初のほうはとんでもなく驚いたと言っている。俺をからかっているのか?




次に住宅。レンガ造りじゃなかった。


木製の建物が付近にはあった。俺達の世界にある建物とは違い、V字を逆にした屋根だ。また、近くには畑があるため、農家の家だろうか。


アナリス曰く、ここら辺はまだまだ序の口らしい。


一体何が序の口だろうか。鉄の塊…車以上に驚く物があるのだろうか。




「いつになったら、その仙台市?の街につくんだ?」






「あと3時間くらいかな」




「は?超遠いじゃん魔法は使っちゃ駄目なのか?」




「駄目だよ、私達だけめちゃくちゃ足速かったらやばいじゃん、だって身体強化の魔法かけたら、100m10秒だよ。もはやアスリートだよ」




どうやら身体強化の魔法でさえこの世界では使用しては行けないらしい。俺達はスキー場から15分間ずっと歩きっぱなしだ。てか3時間も歩くとか地獄か?




道が整備されていて足をとられることはないが、


木製家屋、田んぼ、そして森など景色が一定しているため正直飽きる。




歩きながら俺はアナリスに話しかける。




「なぁ、俺達なんでその街に向かわないと行けないんだ?」




アナリスは顔の向きを変えずに言う。




「えっとさぁ、これ言ったっけ?実は私達以外にもあっちの世界から来てる人が多分いるって話」




そんなの初耳だ。てかなんでそんなこと黙ってやがった。




「……言ってない」




「あ、まじ?なら今言えばいいね。私は魔力探知ができるんだけどね」




いきなり話を始めやがったがまぁいい。




「で、それでこの世界に来たときに7.8つくらいの魔力の反応がパッッて出たあとすぐ消えたんだよね。それで、今は探知できないけど、半径100km圏内なら見つけれる。あとパッッてなった時に大体の距離と方向も分かったし。でもなんでその時探知できたんだろ…」




魔力探知は中位魔法のはずだ。だが範囲はそんなに広くないはずだが。




「考えられるとしたらこの世界魔法を使える人がいない、つまり魔力を持ってないから、異世界の住人が探しやすい。実際ガイムもこの魔法で探したんだよ、で、その後何かにかき消されて魔力の反応が消えたんだと思う」




なるほど。だから俺の居場所が分かったのか。あと、俺の心をやはり読んでいるのだろう。じゃないと俺の疑問を答えれるはずがない。




「で、他の人達も探そうってわけ、人がいたほうが、この世界楽でしょ?」




確かにこの世界がなんなのか分からないなら協力して乗り切るしかない。


そのために2人じゃ足りないからこっちの世界に来た人達を集めるというわけらしい。




「まぁ、それでその人達を探すために空港って場所に向かうの、めちゃくちゃ遠い場所にいたはずだし、あとこの国海に囲まれてるから」




「空港?」




「空港ってのは……説明がめんどくさいや、実際に見たほうがいい」




投げやりだな、おい。




だが、アナリスは続ける。




「もうこの国には異世界人がいないからねだから、早く出るよってこと」




もうということは俺以外にまだあちらの世界の住人がいたということなのだろうか…?


アナリスは続ける。




「私さっき7.8くらい魔力の反応があったって言ったけど、多分2.3人くらいだと思う。人間なのは」




人間?どういうことだ?




「推測なんだけど」




アナリスは言う




「多分魔王もこっちの世界に来てる」 




ほんとになんなんだこの世界…


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