第15話 虹の彼方に

 一方、地上でヘンな『肉弾戦』を繰り広げていたジェイドとキラは・・・、

(ってか、どんだけ長いコトやってたの?)スピーカーから流れるアナウンスを聞いて動きを止めた。


 二人とも力を使い果たして、息も途切れ途切れだ。


「ハァ、ハァ・・・これは?? 緊急自壊装置だと??」


「ウゥン、もうちょっとだったのにっ! どうやら、エクスタシーは次回のお預けみたいね」


 呆然とするジェイド。


「何と言う事だ・・・閣下・・・」


「何してるの? 早く逃げましょう!」


「・・・放っておけ。オレは軍人だ」


「バカ言わないで! 軍人である前に人間でしょ!!! それにあの女の子達を見殺しにする気??」


 我に返り、キラを見つめるジェイド。その目を見つめ返し、うなずくキラ。


 建物全体が、まるでスローモーションの様に崩壊して行く。


 それと重なって、全国各地のミサイル基地で、ミサイルが自己破壊して行く。


 建物が崩れ落ち、噴煙が収まって行くのを、キラとジェイドに助けられた私とヤエが見守っている。

 

 キラとジェイドがつぶやく。


「終わったわね・・・」


「ああ、何もかもな・・・」


「もう・・・、もうこれからは、奈々や私達みたいな悲劇も起こらずに済む・・・」


「俺にとっては、喜劇のような物だったがな」


「ジェイド! 本気で言ってるの!? あれだけの犠牲の半分は、アンタの判断で出したのよ、少なくとも!!」

 

 キラの言葉を受けて呆然とキラを見つめているジェイドに、


 「アンタってバカは、まるで手足をヒモで操られた、出来の悪いデク人形ね、まったく!! これで少しは、目を覚ましなさいっ!」


 キラはジェイドの頬に平手打ちをした後、そこに軽い口付けをする。

 

 そんなオトナのやり取りに気付くすべも無く、ただ空を指差すヤエ。


「お姉ちゃん!見て!!」


「あぁ、きれい・・・」


 そこには、壊れた庭園の池の水が吹き出し、二重の虹を描き出していた・・・・・・。

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