第7話 冒険者ギルドにて

「ゼィハァ...ゼィハァ...あ、あの...冒険者に...なりたい...んですが...」


「は、はい、分かりました。で、では、こちらの用紙に記入頂いて...あの、大丈夫ですか?」


「ゼィハァ...大丈夫...です...」


 冒険者ギルドの受付嬢さんをビックリさせちゃって申し訳ない。これと言うのもあの門番? 警備兵? が悪い! こういう方法があるならあるって早く言えよな! 余計な時間食っちゃったじゃないか! プンプン!


 まぁ元々、冒険者にはなる気でいたからいいんだけどね。隣国に渡ってからゆっくりなるつもりだったし。


「はい、記入終わりました」


「カリナさんですね。それでは魔力を測定しますので、この水晶に触れて下さい。魔力持ちであればこの水晶が光ります。魔力持ちでなければ残念ながら冒険者登録は出来ません。ご了承下さい」


 私は躊躇わず水晶に触れた。すると当然ながら水晶は光り出す。


「はい、結構です。確認できました。冒険者カードに魔力を登録するので少々お待ち下さい。それと登録料として金貨5枚をお支払い願います」


「はい、どうぞ。よろしくお願いします」


「金貨5枚ちょうどお受け取り致しました。ありがとうございます。ではそちらの椅子に掛けてお待ち下さい」


 冒険者カードが身分証になるって意味、なんとなく分かった気がする。魔力を登録するってことは偽造不可ってことだ。魔力は指紋みたいに個人個人で異なっている。1つとして同じモノはない。たとえ双子であってもだ。だからこそ信用がおける。


 それと登録料の金貨5枚。一般的な平民の平均的な月収が約金貨1枚だから、平民が冒険者になろうとすると、約半年分の収入を支払うことになる。平民にとっては大金だ。つまり、それだけの金を払えるだけのステータスを求められるということだ。そういった意味でも信用に値する価値があるのだろう。

 

「お待たせしました」


 そんなことを熟々と考えてる内に出来たようだ。


「こちらが冒険者カードになります」


 そう言って手渡されたのは、真っ白なカードだった。


「冒険者ランクの説明をしますね。ランクは最初Fから始まってAまでの6段階、その更に上にSランクがあります。F~Aまでは依頼を熟して功績ポイントを上げたり、認定試験を受けたりして上げることが可能ですが、Sランクに上がるには国家的危機を救うなどの所謂偉業を達成すること、更にその国のギルドマスターや国王からの推薦も必要になります。そこまで到達する人はほんの一握です。ちなみにこの国には1人しか居ません。英雄と呼ばれるような方ですね」


 受付嬢さんはそこでいったん言葉を切って、


「次にカードの説明をします。最初はご覧のように白からスタートします。色付きになるのはCランクからで、Cランクがブロンズ、Bランクがシルバー、Aランクがゴールドとランクが上がる毎に色が変わります。Sランクになると虹色に変化します。ここまでで何かご質問は?」


「いえ、特には...」


 いきなりの情報過多に戸惑ったけど、要はランクが上がる毎にカードの色が変わるってことね。


「カードには、冒険者活動を通して得られた収入を貯めておく機能も付いています。具体的には、依頼達成料や魔物を倒した時に手に入る魔石やドロップアイテムの売買益などですね。いったん貯めたお金は、どこに行っても近くにあるギルドで下ろすことが可能です。国を渡っても大丈夫です。最後に、カードを壊したり紛失したりした場合、再発行に同じく金貨5枚掛かりますからご注意下さい。何かご質問は?」


「ありません」  


「ではご武運をお祈りしております。ご利用ありがとうございました」


 これでやっとこの国から脱出できる。私は国境警備所に急ぎ向かった。

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