世界の王篇

第5話 召喚


 わたしが、タージュの持ち物となったその日、世界に変化が起きた。

 明確に何かが起こった訳じゃない。

 わたしはピンとは来なかったが、なぜか世界の人々が一様に、世界の起点に対してんだ。

 共時性。

 または、シンクロニシティと呼ばれるものだったかな。

 世界の主要国家が、我先にと世界の起点とされる大陸アンセス大陸への振興を始めた。

 この国際的同時発生シンクロ・ヴェルト自体も、不可思議な現象として世間を騒がせたよ。こうなる前は、テレビという情報デタラメをばらまく機械があったんだ。

 だが、本当に不思議なのは、急に興味を抱いたことよりも、その時になるまで、誰もだ。

 なぜかテレビでも、その事については一切言われなかった。

 誰もが、その事は疑問に抱かなかったんだ。

 …そう。

 あれは運命なんかじゃない。

 誰かによるお膳立てだったのさ。

 それに、わたしの持ち主も付き合うことになった。

 タージュは軍人だったんでね。

 …そうだ。戦う仕事をする人の事だ。

 あの大陸には、とんでもないがいたんでね。

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