恋する魔法のエトセトラ さくらドロップス

ノリック

プロローグ

   プロローグ


 桜が舞う。ひらひら、ひらひら。私は『幼馴染』の春はる楓かと、家の近くの街の公園の桜を見に出掛けてるの。春楓はるかは私と手を繋いで、私に話しかける。


「さくら~、こうえんのさくら、まださいてるかな~」


「だいじょうぶよ、はるか、きっとさいてるわ!」


 そう、私の名前は春の桜と同じ名前。さくらって言うの。春楓も春の名前みたいで、私達は同い年の幼馴染の仲良しさん。私達いつか結婚するの!私達は今五歳。春から幼稚園に入るから、春楓と一緒に街の桜にお願い事をするの。街の桜にお願い事?大丈夫、ちゃんと願えば、きっと叶えてくれるわ!


 私達は街の公園の桜がいっぱい咲いている所まで来た。


「ついたわはるか、まちのこうえんのさくらよ!」


「う~ん、でもさくら、なんかはながちってないかな?」


 街の公園の桜は、ピンク色をしていたんだけど、ちょっと桜が散っていたの。でも私は勇気を持って言ってみた。


「だいじょうぶよ、はるか!さくらのちりぎわは、さくらふぶきっていって、すごくきれいなのよ!てれびのじだいげきのじだいからやってるんだから!」


 私は、自分の『ちしき』をいっぱい使って春楓に言ったの。


「じだいげきのじだいって、なんかちがうきがするけど……わかった!おねがいごとをしてみよう!」


「うん!」


 私は、街の公園の一番大きな桜にお願い事をしたの。声に出すとお願い事は叶わないらしいから、心の中でお願い事をしたの。


(はるかと、じゅうねんごもにじゅうねんごも、ず~っとず~っといっしょにいられますように!)


 私は心の中でお願い事をして、これで願いが叶うわと、すごく嬉しくなる。


 春楓もお願い事をしたようで、とっても嬉しそうにしてたの。私は春楓に聞いてみる。


「はるかは、なにをおねがいしたの?」


 春楓はちょっと困った顔をしたの。


「おねがいごとって、だれかにはなしたらかなわないんじゃなかったっけ?――でも、さくらにならはなせるかな、どうしようかな――よし、じゃあ」


 春楓は何かを決めたように喋ったの。


「――じゅうねん、いや、にじゅうねんたったら、さくらにはなす!」


「えっ、じゅうねん、にじゅうねんご!?」


 私はそんなに待つのと春楓に聞く。


「だいじょうぶ、にじゅうねんたったらかならずさくらにはなすよ!」


 春楓がそうすると言うので、私は春楓の言う事を聞いてみる。


「かならずよ、はるか!にじゅうねんたったらおしえてね!」


 私と春楓は『指切り』をして二人でにっこり笑ったの。


 その時、私は街の公園の一番大きな桜の木に何かが居るのを見つけたの。


「あ、あれは!」


 私は大きな声を上げる。


「さくらのようせいさん!」


 街の公園の一番大きな桜の木に、白くて可愛いぬいぐるみみたいな妖精さんが居たの。私は妖精さんに話しかける。


「ようせいさん、ねがいごと、きっとかなえてね!」


 妖精さんはにっこり笑うと、大きな桜の木の向こう側に行っちゃったの。


「さくら、さくらのきのようせいさんにあったの?」


 春楓が聞いてくるので、私は自信を持って言った。


「うん!ようせいさんがきてくれたから、わたしたちのねがいごとはきっとかなうわ!」


「そうか……じゃあ、よかった!」


 私と春楓は、桜の木にお願い事をすると、街の公園を出てお家に帰る。


 私の手と春楓の手は、とても仲良く、ぎゅっと握ってた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る