第25話〜眩しい

夕方は視覚では痛く、見えていれば綺麗。その光をずっと見ていたいのに目が耐えられない。光が目を拒否しているのかもしれない。

あー、寝起きは変な事を考えてしまう。


「…みんな、帰ったのか?」


今は…4時半ぐらいか。机から離れて教室の窓から中庭を覗き込むが誰もいない。

部活ないのか?でも今日はバスケ部の活動はある日だし、誰か起こしてくれるはず。


「まぁ、いっか」


カバンを持って教室を出て、下駄箱へと向かうが誰とも遭遇そうぐうしなかった。先生とすら会わないなんて変だな。


「くわぁ…眠い」


だいぶ寝たはずなのに眠い。あくびをしながら、上靴を脱いだ。下駄箱へ押し込もうとした時に背中がゾクッとした。

何故ゾクッとしたのか分からない。感覚では分かっているのに、頭がそれに追いついていないみたいだ。

俺の下駄箱は端っこの左側のにあり、その隣にはガラスで出来た扉がある。

まだ日は落ちてはいないのでその扉があるところは明るい。明るいからこそはっきり分かる。


「あ、」


その扉には夢ではよく見えなかった炎華のような物が見える。

髪は暗い赤色の暗排水管に詰まった髪の毛みたいで、そして肌は異常に白く所々ところどころにアザがある。

顔は…髪に隠れていて分からないが、炎華にそっくりだった。炎華よりかは頭2つ分ぐらい小さく、なによりガリガリにやせ細っていた。


俺は自分の下駄箱より少し左に居たので、夕方の光で俺の影が出来ている。だが、ソイツはど真ん中にいるのにも関わらず影がない。


「お、お前は誰なんだ…」


どうする?どうする?どうすれば逃げれる?戦うべきなのか?自分でも混乱しているって事が痛いほどわかる。しかしソイツは何もしてこない。


「ほ、炎…」


炎華の夢と何か関係があるのか?と言いかけたがソイツは俺の隣に瞬間移動したかと思えば、扉の窓ガラスをぶち破った。


「うわぁああ!」


火事場の馬鹿力とはこの事を言うのだろう。俺は重たい扉をすぐに押してソイツから逃げた。




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