case14 街を放浪する金髪JKの話14


「え、マジで!?モエちゃん、アカネ先輩の妹なの?似てねー!」

「アカネ先輩この前も他校のやつとタイマン張ってたよな!あの人オニやべーよ。」

二人の名前はダイゴとマサルと言った。恵のスマホに写っていたチャラ男がダイゴ。マサルは坊主頭に剃り込みを入れており、耳には数え切れないほどピアスを付けていた。

姉がH校で有名人だと言う事で、何故だか私はもてはやされて、私は私でそれが楽しくなってしまっていた。

ファミレスでご飯を食べて、街をふらふら練り歩いて、どう見ても未成年に見えないマサルがコンビニで買ってきてくれたお酒を飲んではしゃいだ。

「これからカラオケ行こーぜ!」ダイゴがほんのりと酔いながら言った。

「いいね、カラオケ!行こ行こ!」

恵も妙にテンションをハイにして言う。そろそろ帰らないとなぁ。私は心の隅っこの方で思った。日はとっくに暮れてしまっている。

これ以上遅くなると親が心配するだろう。それに課題やらないと‥

「モエちゃんも、もちろん来るよな?」

マサルが私に尋ねる。

「え?えっと、私、そろそろ帰らないと‥」

「えー、いいじゃん。あとちょっとだけ!」とマサル。

「そうだぜ。モエちゃん来ねぇと始まんねぇじゃん!」

今度はダイゴが私に迫る。

「うーん‥、じゃあ、ちょっとだけ」

「さっすがアカネ先輩の妹!」

「そうこなくっちゃな!テンション上がってきたー!」

二人はそう言って嬉しそうにハイタッチした。なんだかこっちまで嬉しくなってくる。


事件はほんの些細な事で起きた。というか、ほとんど何が原因でそんな事になったのか覚えてない。

確かカラオケの店員とマサルが何かやり取りをしていて、それがいつのまにか口論になった。

先に手を挙げたのはマサルの方だったと記憶している。そこに警察がすぐに駆けつけた。


ほんと、最悪。


そっからの状況は悪くなる一方だった。まず学校に親が呼び出された。その時の母親の顔を今でも覚えている。期待を裏切られた、と言うような表情。呆然とした表情で母は先生達に頭を下げた。

「全く、富永さんはただでさえ成績が振るわないのに、おまけにこんな事件まで起こされちゃあこっちとしても救いようがありませんよ。自宅謹慎中にしっかり反省して下さい。」

「すみません。娘にはしっかりと言い聞かせます。この度はご迷惑をおかけしました。」

母が踵を返して教室を出る時、私は母の目が涙で濡れているのを見た。

あれ?おかしいな。私はお姉ちゃんと違って、勉強がよくが出来て、学校では先生に褒められて、それで、お母さんを絶対に泣かせたりしないはずだったのに。

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