TURN11:銀河の貴公子

 カードアニメの世界に転生したタカシは同じく転生し、女子中学生となった元祖母のチヨと再会。チヨの家族の一員として暮らすことになったのだが…

「学校に行けってぇ!?」

「そうよー!せっかく生まれ変わって少年時代に戻れたのよー?もっとエンジョイしなくちゃー!」

「いやいや…いいよ学校なんて…前の世界でもいじめられたりなじめなかったりして引きこもったわけだし…どうせ行っても無駄でしょ…」

「それはあなたと前の世界の学校の人たちの相性が悪かっただけ。この世界でならきっとなじめるわよー。ほら、私も一緒に行くから、ねっ?」


(ってことで中学校に通うことになったが…)

「今日から転校生がこのクラスに入ることとなった。自己紹介をしてくれたまえ」

「あ…えっと…」

(やっべえ皆見てる、めちゃくちゃ緊張して言葉が出ねえ…)


「あ…俺の教科書が…ない…」

「まーた忘れ物か?一体何度忘れ物をしているんだ。お前は本当にダメな奴だな」

「いや、家に出る時は教科書はあったはず…」

「誰かが隠したとでもいうのか?うちの生徒達がそんな事をするわけないだろう!!」

「くすくすくす…」

 タカシの脳裏に、学校に馴染めず、しまいには不登校になった前世での日々が蘇る。


(やっぱり俺に学校なんて…)

「お!!タカシじゃんか!!!」

 聞き覚えのある声、そして特徴的な髪型。それは…

「遊太!?同じクラスだったのか…!?」

「遊太、そいつってもしかしてお前が言ってた?」

「ああ!タカシはすっげーデュエル強いんだぜ!ま、俺の方が強いけどな!」

「一度はお前にも勝ったし…」

「お?やるか!何なら今デュエルするか!?」

「遊太君!今はホームルーム中だ、口を慎みたまえ。タカシ君、デュエルするなら私とやろうではないか!」

「いや、結局デュエルすんですか!?」

「はははは」

「ふっひっひっひ」


「あいつが最近遊太に接近しているという男か…」

 タカシの様子を近くのビルの屋上から伺うのは一人の男。

「奴がもしも敵ならば…狩るしかあるまい!」


 その日の放課後…

(…学校生活って実は楽しい?前世の時はトラウマだったけど、この世界でなら何とかなりそうだな…デュエルの授業では遊太と愛良以外にはイキれるし!!)

 その時であった。突如風が吹き、周囲に不穏な音が流れる。

「フューフューフュフュフュー♪」

(なんだこの口笛…?聞き覚えがあるような…)

「この世を蝕む闇を狩る者、人は俺をダークハンターと呼ぶ」

(呼びません。って海城大和!?)

 タカシの前に現れたのは身長175cmほどの男。年齢は中学三年生ほど、白いコートを着ており、金色の髪にはトゲのようなくせっ毛がある。

(前世の記憶によれば、こいつはアニメ『デュエルオムニバースDX』における切藤遊太のライバル!何で俺の目の前にいるんだ!?)

「簡潔に問おう。貴様、ダークワールドの一員か?」

(ダークワールド…確かアニメで遊太と敵対している悪の秘密結社だったよな。確かデュエルで世界征服しようとしていて…ってモブキャラであるはずの俺がダークワールド知ってるってバレたら怪しまれるよな…?)

「え、えーっと…ダークワールド…?何ですかそれ?」

「とぼけるな!以前遊太をカードに封印しようと、転校生のふりをして遊太に近づいていたダークワールドの一員がいた。貴様も最近やたらと遊太に接近している。貴様もダークワールドなのではないか?」

(アニメ39話で遊太と戦った仁月のことかあああ!!あいつのせいで俺まで疑われてるってこと!?絶対許さねえ仁月ゥ!!)

「いや…えっと…そ、そんなこと言われても俺はただの転校生で…」

「問答無用!貴様もカードに封印してやる!さあ!デュエルガジェットを構えろ!!」

「えぇ…」

(やべえぞ…闇の戦いを挑まれた…デュエルに負けた方はカードに魂を封印されてしまう。一度封印されたら中から脱出することは出来ない。実質死亡するってことだよな!?しかし逃げたらますます怪しまれるし、そもそも逃がしてもらえそうにもない!!)

 二人はデュエルガジェットを装着、デュエルの準備が整う。

「デュエル!!」

(えーい!やるっきゃねえ!!)


 デュエルが始まると周囲に結界が現れる。

(今のところ俺は遊太と愛良、主要キャラとのデュエルにはほぼ敗れてる。この流れで考えると今回も負けるってことだよな…)

「ターンもらいます。ドロー」


大和

HP:4000 AC:0 手札:4枚


タカシ

HP:4000 AC:3 手札:5枚


(いやしかし!せっかく異世界転生したのにまた死ぬなんてゴメンだぞ!?何としてでも勝利する方法を見つけるんだ!!)

「アクアコール使います。デッキからミラゲロゲをサーチ」


AC:3→2

『アクアコール』 マジックカード

自分の山札から好きな水タイプのモンスターを1枚選んで手札に加える。


「ヨブゲロゲを召喚します。効果でミラゲロゲをデッキから召喚。さらにミラゲロゲの効果で手札のミラゲロゲを召喚」

「ふん、一度に三体ものモンスターを召喚してきたか」


AC:2→1

『ヨブゲロゲ』

下級 タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:0 防御力:100

効果:このモンスターが場に出た時、自分の山札にある名前に『ゲロゲ』と付く下級モンスターを1体選び、召喚する。(このターン中にヨブゲロゲの効果を既に使っている場合、この効果は無効となる)


『ミラゲロゲ』

下級 タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:0 防御力:100

効果:このモンスターが場に出た時、自分の手札にある名前に『ミラゲロゲ』を1体選び、召喚する。(このターン中にミラゲロゲの効果を既に使っている場合、この効果は無効となる)


「ヨブゲロゲとミラゲロゲ2体でエクストラ」

 カエルモンスター達がデュエルガジェットに飲み込まれる。

「好きな四字熟語は先行制圧!今回も先行で登場!いでよ!沼地の支配者ゲロゲロック!」

「ゲロゲロゲー!!」

 濁流と共にギターを持った巨大なカエルが姿を現す!


『沼地の支配者ゲロゲロック』

エクストラ タイプ:水 分類:爬虫類 攻撃力:1500 防御力:1800

召喚条件:水タイプ爬虫類下級モンスター×3

効果:1ターンに一度、このカードの素材モンスターを一つ捨ててもよい。そうしたならマジックカードまたはカウンターカードのどちらか一つを指定する。次の相手ターンの終了時まで、互いのプレイヤーは選ばれたカードを発動できない。(このターン中に沼地の支配者ゲロゲロックの効果を既に使っている場合、この効果は発動できない)


「ヨブゲロゲを墓地に送って効果発動。対象マジックで」

「ふうん」

 ゲロゲロックによる騒音がフィールドに響き渡る。


沼地の支配者ゲロゲロック 素材カード数:3→2


「裏側カードを1枚出します」

(初手に『落とし沼』を握れたのはついてたな…大和の切り札は攻撃力3000を誇る『銀河の帝王竜』。遊太や愛良とのデュエルを考えると切り札を引いてくる可能性は高いはず。ひとまずこいつでけん制する!)


AC:1→0

裏側カード:1枚


「ターンエンドで」

「俺のターン!ドロー!!」


大和

HP:4000 AC:3 手札:5枚


タカシ

HP:4000 AC:0 手札:1枚

フィールド:沼地の支配者ゲロゲロック

裏側カード:1枚


(…とは思ったものの、遊太や愛良のパターンを考えると罠を除去するなり何なりして結局切り札出されるパターンが来る気もするんだよなあ…ただ遊太も愛良もこちらが圧倒的に有利な状況で逆転してきた。その逆を考えればこちらが『そこそこ不利』って状況を維持して終盤に逆転すればワンチャンあるんじゃ?ってかその線に賭けるしかねえよな…さあ来やがれ!!)

「ふん、俺は『光の小竜』を召喚!」

 身体に光をまとった小さな竜が現れる。


AC:3→2

光の小竜ライトライトドラゴン

下級 タイプ:光 分類:ドラゴン 攻撃力:1600 防御力:200


「続いて進化召喚!『光の小竜』よ!『幻影竜』に進化せよ!!」

 小さなドラゴンは姿を変え、鏡のような身体を持った竜へと変貌する。


AC:2→1

幻影竜ミラージュ・ドラゴン

中級 タイプ:光 分類:ドラゴン 攻撃力:1700 防御力:1400


「幻影竜の効果発動!召喚に成功した時、手札に幻影竜があれば、召喚することができる!現れろ!幻影竜!」

 幻影竜が分身し、2体目の幻影竜が現れる。

「続けて2体目の幻影竜の効果発動!手札から3体目の幻影竜を召喚!」

 さらに幻影竜が分身し、フィールドに3体の幻影竜が並ぶ!

(サーチカード無しで初手に3枚幻影竜揃ってるとか詰め込みかな??んでそのうち1体を『銀河の帝王竜』に進化させて来るってパターンだな、この世界にももう慣れてるから大分展開が読めてきたぞ)

「俺は3体の幻影竜でエクストラゾーンを展開!」

 幻影竜がデュエルガジェットの中に飛び込んでいく!

(あ、あれ??)

「懺悔をしてももう遅い!我が銀河の超新星より連撃を放て!!」

 デュエルガジェットの中から発生した宇宙空間より、輝く星々のような翼を持つ巨大な竜が姿を現す!!

「現れろ!銀河の連打竜!!」

「グルオオオオオオオオオオオオオ!!!」


銀河の連打竜ギンガ・レンダ・ドラゴン

エクストラ タイプ:光 分類:ドラゴン 攻撃力:1700 防御力:1500

召喚条件:光タイプドラゴン中級モンスター×2以上


「銀河の帝王竜じゃない…だと?」

「何故俺が銀河の帝王竜を持っているかを知っているかは知らんが…貴様など銀河の帝王竜を使うまでもない!」

(まずいぞ…!しかもこいつの効果は…!)

「銀河の連打竜の効果発動!こいつの攻撃力は素材モンスターの数×200アップする!!素材モンスターは『幻影竜』3体と、1体目の幻影竜の進化元にした『光の小竜』が1枚、合計で4枚!よって200×4で800ポイントアップ!!」


銀河の連打竜 攻撃力:1700→2500


(くっそー!落とし沼は『相手が攻撃力2000以上のモンスターを召喚した時』に発動するカード、召喚時の攻撃力は1700である銀河の連打竜は引っかからねえ…!)

「バトルだ!銀河の連打竜で沼地の支配者ゲロゲロックを攻撃!連撃のラピッドストリーム!第一撃!」

 銀河の連打竜が口から放つ光のビームがゲロゲロックを貫く!

「うおわっ!!」


銀河の連打竜 攻撃力:2500

沼地の支配者ゲロゲロック 防御力:1800

タカシ HP:4000→3300


「銀河の連打竜の更なる効果発動!素材モンスターを二つ取り除くことで、連続攻撃することができる!!アタックリチャージ!!」

 銀河の連打竜が光り輝き、再び攻撃体勢に入る。

「ただし素材モンスターが減ったことで攻撃力は下がるがな」

(あー…あかん奴だこれ)


銀河の連打竜 攻撃力:2500→2100

素材カード数:4→2


「銀河の連打竜の攻撃!連撃のラピッドストリーム!!第二撃!!」

 銀河の連打竜が翼から放つ光線がタカシを襲う。

「んぎゃああああああ!!!」


銀河の連打竜 攻撃力:2100

タカシ HP:3300→1200


「そして銀河の連打竜の効果は素材が残っている限り、何度でも使える!再び発動!アタックリチャージ!!」

 銀河の連打竜は再び光り輝き、攻撃体勢に変化する!

(…俺、終わったわ)


銀河の連打竜 攻撃力:2100→1700

素材カード数:2→0


「これで終わりだ!!連撃のラピッドストリーム!!第三撃ィ!!!」

(チクショー…遊太や愛良とのデュエルはこっち圧倒的に優勢って状況からの大逆転されて負けだったから序盤は大丈夫だと思ったのに…)

 光をまとった銀河の連打竜がタカシに突撃する!!

「今回は後攻ワンキルかよおおおおおおおおおおおお!!!」


銀河の連打竜 攻撃力:1700

タカシ HP:1200→0


「流石に…後攻ワンキルはへこむわ…うぐう…」

 攻撃で吹っ飛ばされたタカシはその場に倒れ込んだ。

「ふん、他愛もない…約束通り貴様はカードに封印させてもらうぞ」

「ああ…嫌だ…死にたくない!!誰か助けてー!!」

「往生際が悪いぞ!貴様それでもデュエリストか!?」

「リアリストだー!」

「タカシ…?それに大和じゃねーか!?」

 二人の元へやってきたのはよく知る一人の少年であった。

(しゅ、主人公キター!?)


To be continued…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る