第3話「爆発、そして味噌汁」

「いやいやいやいやいやいやいやいや!!おかしいだろおおおおおお!!」


 男…いや、女は叫んだ。

 やや舌足らずで特徴的な高い声で叫んだ。

 叫びながらも女はなぜか少し冷静で、点けっぱなしだったコンロの火を止めながら叫んでいた。

 コンロの上には中身が半分以上無くなっている大きな鍋。

 その鍋からは、食欲を刺激する味噌と出汁の香りがしていた。

 鍋の中身は味噌汁。辺りに飛び散った黄土色の液体もまた味噌汁。

 壁、天井、床、シンク、コンロ周辺だけでなく、部屋中に飛び散った味噌汁。

 その味噌汁は、市販の出汁ではなく、自ら出汁を取って赤味噌を使い、ジャガイモとワカメと豆腐の三種を具材にした具だくさんの絶品味噌汁だった。

 部屋の中には女と飛び散った味噌汁。

 独りの女と味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁、味噌汁…

 そして、味噌汁。

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