1-9 突入、遺跡内部

 ゴッドフリードが力を込めて仕掛けを押すと、重低音と共に壁の隙間が大きくなっていく。開いた扉の内部から、じめっとした空気が肌を撫でる。奥から聞こえていた水の流れる音はさらに大きくなり、もはや耳を澄まさずともはっきりと届いてくる。



GM:中を覗き込めば、明るい光が目に飛び込んでくるのが感じられるね。たぶん、魔動機灯の明かりがまだ生きているんじゃないかな。水道設備が壊れて水が噴き出しているみたいで、内部には小さな水たまりや水流も見受けられるね。


GM/セレン:「この遺跡は……魔動機文明時代のものだね」


ミヒャエル:「おお~、毛が濡れてしまいそうだ」


ソルベ:「うへぇ。こういう魔窟、稀に見つかると大変なんだよね~……」


ゴッドフリード:「うーむ……これじゃあ地元の奴はともかく、観光客は釣れんだろうなぁ。となると……」


ロラン:「未発見の遺跡に釣られて……ということかな?」


ゴッドフリード:「あぁ、だろうな。それなら有り得る」


GM/セレン:「そうだね。そう考えるのが妥当じゃないかな」


キッカ:「この光……常夜灯の類でしょうか。それとも、誰か灯した人が?」


GM/セレン:「遺跡には昔から点きっ放しの魔動機灯も少なくないからね。理由はどうあれ、珍しいことじゃない」


ソルベ:「案外、消し忘れだったりね~」


ミヒャエル:「うむ。では進むとしようか。しかし興味深い。こんな状況でなければもう少しゆっくり見るのだがね」


ゴッドフリード:よし。というワケで進もう。


GM:OK、キミたちが少し進むと、左側の壁が凹んでいるのがわかる。覗き込めば、4つ並んだスイッチと、メモのように書かれている数式や図形が目に入るだろうね。


ロラン:スイッチ?


GM:あぁ、えっとね。こう……レバーを上下にするタイプのやつ。今は全部下になってるね。


キッカ:それで、メモというのは。


GM:四つ横に並んだスイッチの上に、「◣」の形の記号がひとつ。あ、けっこう横長のやつね。


キッカ:ふむふむ。


GM:あと、スイッチの下部分に

 1=2→×

 2=3→ ×

 1=3→☒

 2=4→ ☒

って感じで書かれてる。OK? あ、これが図だよ。(図を見せる)


ゴッドフリード:ははぁん、なるほどな。



 PL達にはサプリメント『星座の街サイレックオード』83ページに掲載されているものと同じ図を出しているので、気になった読者は買ってみて欲しい。



ミヒャエル:マズいな、全くわからない。


ゴッドフリード:んー……? 三角形が恐らくスイッチの番号を現してて?


ミヒャエル:うむ、右からスイッチの番号が1234になっているまでは予想がつくのであるが。これが何のスイッチか分からない以上は解法がないな。



 わいわいとPL達は相談してみるも、八方塞がりの様子。まだ解くためのヒントがほとんどないので仕方ないのだが……。



キッカ:スイッチなら、対になる装置があると思うのですが……近くには何か見当たりますか?


GM:近くには何もないかな。奥への道はそのまま続いているので、先に進むことは可能だよ。


ロラン:まぁ、先に進んでみるかい?


ミヒャエル:そうしよう。埒が明かなそうだ。


キッカ:「奥に何か装置があるのでしょうか……?」


ゴッドフリード:「かねぇ。ひとまず先に進んでそっちの方を探してみるか?」


ロラン:「下手に押して変なことになっても困るからねぇ、そうしようか」


ソルベ:「矢印の右側のバツ印が何を指してるのかサッパリだしね~」


GM:進んでみる?


ミヒャエル:うむ。


GM:じゃあ少し進むと、右側に進む道と奥に向かう道が分かれている。足跡を見てみても、行ったり来たりを繰り返しているようで、どちらがどこに行ったかわからなくなってしまっているみたいだ。


ゴッドフリード:道の先を覗いてみる。何かある?


GM:そうだね、奥に進む道は、さらに奥に扉のようなものが見える。右側の方は、奥の方に左に曲がる道が見える。


ゴッドフリード:扉か。


ミヒャエル:ふむ、どちらに進むかね?


ゴッドフリード:聞き耳とかしてみるか……GM、何かできる?


GM:そうだね、探索判定ができる。とりあえず奥に向かうほうの道でいいかな?


ソルベ:いいんじゃないかな~。というわけでスカウト!


ゴッドフリード:よし、任せろ。(ころころ)ピンゾロ。


GM:えぇ……。じゃあ経験点50点が貰えた。


ソルベ:(笑)


ミヒャエル:ではせっかくなので吾輩も。……8。少し不安があるな。



 ソルベとキッカも振ってみるが、ミヒャエル以上の出目は出ず。ロランに目線が集まる。



ロラン:そんなに見られると不安になるんだけど……(ころころ)11。


ゴッドフリード : おおっと。どうだ?


GM : 大丈夫。ロラン……とミヒャエルは、この先の床が感圧床になっていることがわかる。何か仕掛けがしてあるみたいだけど、どうやらこれを解除することはできなさそうだ。


ゴッドフリード:鳴子の変形か!


ソルベ:気を付けて進んでもダメ、なにもかもが卑怯じゃない?


GM:遺跡の時代が時代だからねぇ。


ロラン:「ふむ……?」


ミヒャエル:「む、罠のようだ。どういったものかはわからないがね」


ゴッドフリード : 「おっと、あぶねぇあぶねぇ……」


GM:もし気になるなら踏んでみてもいいけど。


ゴッドフリード:踏みませぬ(確固たる意志)。


ロラン:遠いけど、扉は開くかわかるかい?


GM:んー。ここからだとよくわからなさそうだ。


キッカ:「感圧板が直ちに罠とは限りませんが……」


GM/セレン:「確かに、踏んで開く扉もあるけど……入り口のスイッチを考えると、罠だと考えていいんじゃないかな」


ミヒャエル:「うむ。今は踏まないに越したことはあるまいよ」


ソルベ:「まぁ、もう一方を見てから判断しよっか」


GM : 右側の方に探索を振ってみる?



 みんなで探索判定。全体的に良い出目を出す中、キッカだけやっぱり妙に出目が低い結果に。



キッカ:どうして……。


GM:がんばって、応援してるから……さて。キッカも含めて皆分かるけど、少なくともこの付近には何も仕掛けられていなさそうだね。床も普通の床。


ゴッドフリード:じゃあ、そっち先進むか。


ソルベ:異議な~し。


GM : 曲がり角に到達する前に、横の壁の方に何か模様があるのに気づく。だいたい真ん中くらい。


ミヒャエル:ふむ、何だろうか。


GM:こんな感じの模様があるよ。凹の端っこの先が矢印になってて、両端の上に○が書いてあるみたいな(サイレックオードP84参照)。


キッカ:「……案内板のようです」


ゴッドフリード:「スイッチの形と合わせると……もしかして、この先にもう一個感圧床があるのか?」


キッカ:「道は2つ、×の位置も2つ……」ぶつぶつ


ゴッドフリード:此処が矢印の始点。スイッチはその先の感圧床のオンオフ……か?


ソルベ:「×の左右はそのまんま左右かな~」


ゴッドフリード : 「そうそう。ただなぁ……☒と×、コレどっちが当たりなんだろうな?」


キッカ:「どちらも中は×なんですから、どちらもハズレと考えるべきでしょう」


GM/セレン:「そうだね。別の罠が二種類あったりするかもしれない」


ロラン:「とりあえず、やってみればわかるんじゃないかな?」


ミヒャエル:「うむ。全ての組み合わせを試してみるという手も悪くはなかろう」


ミヒャエル:ともかく、一度進もう。曲がり角の先には何があるかね。


ゴッドフリード:覗く。先行は任せてくれ。感圧床があったら概ね当たりの筈だ。


GM:道の先を覗いてみると……お察しの通り、扉と感圧床があるね。仕組みは同じだから探索は省略しようか。


ゴッドフリード:やっぱりか。


GM:さて、どうする?


キッカ:「スイッチと番号が対応しているのはわかりますが、イコールはどういう意味でしょうか? それに対応する状態の場合、バツの書いてある方向の通路の罠が作動する、ということだとは思うのですが」


ロラン:「まぁスイッチの上下が合ってるか、じゃないかな?」


ゴッドフリード:「だな。二つを同時に、という意味だとは思うが……」



 というわけで、再度相談タイム開幕。あれがああで、これがこうで、と悩むPL達。GMはそれを微笑ましく見ながら、それとなくいい感じの方向に誘導しようと奮闘。結構議論が右往左往したり一周したりするので、なんだかんだセレンには頑張ってもらった。



ゴッドフリード:「――って感じでやれば、感圧床は止まるはずなんだが」


GM/セレン:「そうだね。最終的に感圧床が起動しているかどうか、どうやって確かめる?」


キッカ:「踏んでみる……のが一番だとは思いますが」


ロラン:「まぁ一番率直なのはそれだけどねぇ……」


ミヒャエル:「そうするしかあるまいなぁ。問題は誰が踏むかだが」


ゴッドフリード:「そうなると、俺か……」


ミヒャエル:「何から何まですまないな」


ゴッドフリード:「まぁ気にすんな。スイッチ入れたら扉が開くのが一番手っ取り早いんだがなぁ……」


GM/セレン : 「そうだね……一度、スイッチのところまで戻ってやってみようか」


GM:というわけで、ひとまずスイッチの所まで戻ってもらってもいいかな?


ソルベ:りょ~かい。

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