サバイバるん♪

ふかしぎ 那由他

1るん♪ ~船酔い時は甲板に出るなっつぅの~

 超ぉぉぉ為崩しくった、あんなんで落ちるとは思ってもみなかったんだってぶぁぁぁぁ。



 私の名前は、真瀬輝代ませてるよ

 未だに親に罵声を浴びせ、避難し続ける程の恥ずかしい名前を持つ21歳の大学3回生。


 3年付き合った男に突如と捨てられ、傷心旅行に一人で行こうと決めたのはいいけれど、私は大の飛行機嫌い。

 だからね、船で気長に沖縄へ向かったんだけれど……この旅自体が、そもそも私の人生に於いてBig mistakeな選択だったって事なのよね。

 何故、船旅をチョイスしたかと云うと……沖縄まで電車が通ってなかったって初めて知って。んで、しゃーないかと諦めてたんだけど、沖縄・那覇港行きの客船があるって。じゃぁ「ザッツ・船旅」するっきゃないっしょっ! と、大の飛行機嫌いな私の選択肢で海路を選んだの。


 でねでね、予約はすんなり取れて、近所のコンビニで代金を支払って、いざっ常夏の……まぁ、まだ春先なんだけど、気分は常夏、夏、夏、めんそーれってな気分で、出航当日はテンション爆上げでやってまいりました。東京湾! 

 沖縄・那覇港着のチケット(学割2万2千円)を握り締め、重たいキャリーバッグを抱えて乗り込んだのまでは良かった…うん、寝坊もしなかったし、道に迷わなかったしぃ? ……しか~し、男に振られた私の運の悪さは始まったばかり。…てか目下継続中って不運を呪わずにはいられなかった。


 だってね、17時出港予定の筈が『積み荷が多くて出発が遅れています』って船内アナウンスで言っていたの。本当に、まったくもって迷惑千万、甚だしいったらありゃしないって話じゃな?

 とっとと積みなさいよ! って、思わず声に出ちゃって、周りから白い目で見られたんだけれど気、にしたら負けよ。JDは、それくらいでビビったりしないんだからね! フン。


 それから1時間遅れの18時過ぎにやっと出港したフェリーの客室で、私ってば大事な事を思い出し、もはや手後れの後悔こきマロ状態ちゃんの涙目になってたよ。

 私、乗り物にすんごーく酔いやすくて、出港してから東京湾を出たとアナウンスが聞こえて来た辺りで『リバースon Theふぇすてぃぼー』しちゃったのよ………てへっ♡……うぷっ。


 んと~、なんだっけ…昔、人気があった漫才師で「ゲロゲロゲ~」とか言ってた人いたじゃない? 何でだか、その人のギャグ、それを思い出したわ。当に今の私を表現にピッタリだと閃いた? って感じ……う、う、うるさいわね! ぎぼぢ悪くて、コレぞなもし! って良いのが思い浮ばなかっただけですけどぉぉ? 何か?


 上船まで気分上々、心はウキウキビフォー。んで、酸っぱい口内の私は憂鬱、鬱、鬱の浜辺に打ち上げられた人魚姫状態。あっ、ツッコミは受け付けませんけどぉぉ? まっ、そんなんだから二度と船には乗らないって己に戒めたわ。あ、それでも飛行機は論外のガイガイよ。


 だから、次に旅行に行く時は電車よねって深層心理に刻み込んだ、うん、そう決めた。

 これからは文明のリキ、新幹線よ! 陸路が良いわ、絶対。青春キップを買って、のんびり車窓を眺めて旅をするの……ふぇすてぃぼーは……多分大丈夫よ、ええ、大丈夫…かな?。

 あ~でも、バスはパスパ~ス…確実に酔うもん、100パー酔うから。もう、エチケット袋のお替りは懲り懲りのゴリゴリ。

 あの呆れた目の運転手の態度……なんか思い出したら腹が立ってきた。あんのハゲでぶ運転手め! ……てか、今は、そんな事を思い出してるばやい場合じゃなかったつか、酸っぱいのがこみ上げて来た的な絶望感が喉まで来ちゃってる。うぅ、ぎぼぢわるい。


 そんで『リバースon Theふぇすてぃぼー』ぴりーと・あふたー・みーの私は、船室のトイレの匂いにもやられちゃって……コレまじ無理だからってなって、ここから離脱して甲板に出て夜空の下でロマンチックにリバース出来たら気分が良くなるんじゃないかって思って、ハムスターみたいになっている頬でBボタン連打の高橋の如く、ちょっ早ジョイナー金メダルって感じに私は、船外へ猛ダッシュよ。

 あのスピード…ダッシュは100m9秒台でって位早かった。いや出ててたわね、うん、出てたわ私。


 『切羽詰まった乙女を舐めんじゃないわよ』を見事に体現してたと言える。…まぁ、今咄嗟とっさに浮かんだ言葉を並べただけだけど…何か文句でもあるってワケ? そんなの受け付けませんが? 何よ…フン!


 コホン。



 でねでね、人気ひとけのない場所をようやく見つけて、頬に詰まった『ふぇすてぃぼー』を海に向かって放流したのよ。


 あぁ…あれは、mjマジ気持ちよかったわぁ。

 ぴゅーって飛んで消えて行ったの、空に風で舞い上がって見えなくなって行くシャボン玉みたいだったわ。


 そんで、出すもん出してスッキリしたんだけれど、口の中がモチャモチャしてて自販機でお茶でもって船室へ向かって歩いてたら、私の運の悪さは再度、鎌首をもたげて笑ってたんだわ、きっと。 

 で、また『ふぇすてぃぼー』しちゃいそうになって、慌てて船縁ふなべりの手すりを掴もうとダッシュしたのが失敗だった。レポート提出を忘れて教授に単位が貰えなかったらどうしようって焦った時と同じ位、すんごい後悔になったわ。



 そんで、今まで何回かの『ふぇすてぃぼー』の所為で、意外と私の体力は消耗してたのね。うん。

 足がもつれて……ほら…プロレスの場外乱闘の時にロープの間からダイブする選手みたいにって言えば分かり易いかな? それよそれ、私は海に向かって


         I can flyしたのよ…………てへ♡


 まぁ「うぎゃぁぁ」って悲鳴を上げたのは内緒。それに甲板には誰もいなかったし、聞かれてないと思う。

 今となっては誰か居て欲しかったなぁぁって……そうすれば、こんな状況になっていなかったと思うんだよね。きっと。

 まったくツイてない「最近の私の人生は土留め色」と言ってもいいわ。そんな人生な私って嫌になるわよね。…ったく。


 全然可愛くない悲鳴を上げながら、私は手足をバタバタさせながら私は落ちていった。

 でね、落下中に『客船っての甲板って結構高い位置にある』って思った瞬間、海面に打ち付けられて意識を失っちゃったのよねぇ。


 厄日だわ、mjdまじで



 ◇



 顔にかかる海水とゆらゆらと体が揺れて、意識を取り戻した私が最初に思ったのは、春浅い時期だったって事もあって厚着をしていたのが功を奏したって感じ。で、ダウンコート様様って思っちゃった。

 撥水加工されてた衣服が、救命胴衣みたいな役目を果たしていて、沈まずに海面に浮いていたって…mjd助かったわ。普通なら海の藻屑の「ボクドザエモンで~す」てなっててもおかしくなかったからね。


 多分なんだけど、ロングのダウンコートが浮力を保持してた上に、撥水加工がされていたモノだったかから溺れずに済んだんだと頭脳明晰な私は、そう結論付けたわ。


 でも、周りは真っ暗で見えるのは夜空の満月と、一等星か二等星の星くらい。北極星の位置は直ぐに分かったけれど。分かったって自分の位置が分からない。北極星の位置を知っていても役に立たないのね、使えないわぁ北極星って素直な感想しか浮かばなかった。


 それから暫くして、何かが体に当った時はmjビビったけれど、夜陰の中って満月があると意外と見えるものなのね。月明りに浮かび上がったそれは、大きな丸太だったの。

 長さ5mくらいかなぁ、こんなのが漂流してるのかってびっくりだけど、何とかうんしょうんしょって丸太の上に上がる事が出来たと人がやっとの思いで乗ったのにって思ったんだけど、いきなしクルンって丸太がる回って、簡単に海に落とされる。10回くらい頑張ったんだけど、全然ダメで乗っても乗ってもクルンって丸太が回って落とされるから、イライラMAX、アングリーハートよ!

 で、ワンチャン、次、落ちたら掴まるだけで上がらないって決めたら、今度は落ちない。もう、男に捨てられてから踏んだり蹴ったりよ、もうなんなのよ!

 つかさ、疫病神が居るのなら出てきなさいよ!!! ぐーパンチで、助走付けて殴り飛ばしてあげるから。ドッゴーンってヤってやるんだかんね。ふんす。



 とまぁ、騒いで現実逃避するしかない私。だってさ、夜の海って超怖いんだって、すんごく真っ黒に見えるからお化けとか怪物とかが出てきそうだし。見えない事がこんなにも恐怖心を煽るもんなんだって、奥歯がカタカタってなっちゃうよ。海水で濡れた寒さとは違う寒さって云えばいいのか、mjd震えが止まんなかった。多分だけど、深淵とかコレの事じゃないかな? ってね、無事帰ったらヲタ子に教えてあげなきゃって思ったわ。深淵、mjマジ怖、mjマジぱないす!

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