05 "今をもがく"

――――時を戻し現在。


姫小路朱李ひめのこうじしゅりが連れ出され少しの時間がたったころ、何故か俺もまた姫小路朱李と同じようにテロリストに連れていかれそうになっている!!


・・・・事の発端は、一人のテロリストと目が合ったと思ったらいきなり焦りだし、俺の首根っこを掴み上げ連れ出そうとした。


「やめろっ!!離せっ!!イッテーな!!!!」


(な、なんだ!?目が合ったと思ったらいきなり連れ出そうとしやがって!!)


(や、やばい!!連れていかれる!!)


俺は無我夢中になりながら掴み上げてきた男に何度も拳と蹴りを喰らわせているのに男はびくともしなかった。


それどころか男は仲間のテロリストと話しながら俺の攻撃を受けていた。


(ふざけんなっ!コイツどれだけ頑丈な体してんだよ!?!?)


まるで自分が弱くなっているかのように錯覚を起こしそうになる。事実弱いのだが、さすがに体が出来上がった高校生の攻撃だって普通は防御しなければそれなりのダメージが入るはずだ。


「きゃああああぁぁぁぁ!!!!」


クラスメイトが悲鳴を上げたと思ったら腹に強烈な痛みが走りその場にうずくまっていた。


男はしびれを切らしたのか俺の腹にアッパーを喰らわせ無理やり俺を黙らせた。


「っ!?!?ケホッ!!っ!ガハッ!!」


胃の中にあるものをほとんど吐き出してしまった。


かろうじて意識を保てたが言葉を発したり体を動かしたりすることができなく、ましてや逃げる気力も失われた。


(・・・あーーー、無理だ・・・逃げることも戦うこともすべて無駄だったんだ・・・)


(・・・妄想は妄想でしかなかったんだな・・・)


今の一撃で男子中高生が思い描くようにはならないことを知ってしまった。


・・・・・・・現実はそう甘くはないのである・・・・・


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