とある男の日記

川野マグロ(マグローK)

第1話

 今日、ここから日記を書き残すことにする。

 誰のためという訳ではなく自分のためだ。

 初日という事で、この日記の中身に何を書くかについて書こうと思う。

 簡潔に言えばフィクションだ。

 実際に起こった事もあるかもしれないが、全てが脚色された非現実のものだと思ってもらいたい。

 早速だが、本題に入ろう。


 彼は走り出した。

 目を覚ますと見知らぬ場所に居た。

 どこだかわからない恐怖と背後から聞こえてくる足音で体が勝手に動き出していた。

 身近な生物の足音とは思えない大きな音に、体がすくみそうになるところに鞭打って全力で腕を振っていた。

 ただ、前へ進むことだけ考えていた。

 しばらく追いつかれまいと動いていると、足音は聞こえなくなっていた。

 息も切れ切れ、彼はその場にへたり込んだ。

「助かった」

 一言呟くと彼は空を仰いだ。

 彼の心労を気にもしていないように鳥たちが飛んでいた。

 彼は悩むよりも先に微笑んでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る