七夕の星が結ぶアルタイルとベガの物語

星を眺めるのが好きな星野光輝は、進学した高校で天文部へ入部することを決めた。が、部は過去に起きたとある事件で部員がおらず、観測にもってこいの屋上は立ち入りが禁止されている。天文部員的には最悪のスタートとなったのだが。彼のとなりにはもうひとりの入部希望者で星を愛する少女、光がいた。

ボーイミーツガールっ! 光輝くんと光さんの出逢いがもう運命匂い立つ感じで、一気に掴まれます。ふたりぼっちは寂しいですが、ふたりきりにはロマンしかありませんからね。
しっかり恋愛フラグを立てた冒頭があればこそ期待値は高まり、なんでもない会話劇が彩づくのです。それにですよ、そこの光さんがまたかわいいんですよ。時々混じる「〜しようや」って女子っぽくないセリフが逆に彼女の魅力をいや増していて、もう好きになるでしょう!

過去の伏線という起、ふたりが距離を縮める承、関係性が大きく変わる転を経て、物語は約束された結へ至ります。最後にひとつの謎が残されるのですが、ともあれ。

衒いのない運命がここにあります!


(「余韻ほろほろ」4選/文=高橋 剛)